どこの家庭にも一台はあるテレビ。最近は大画面テレビもリーズナブルな製品も多くなりましたが、テレビはサイズなどで電気代が変わることをご存じでしょうか。テレビで省エネするテクニックを家電王・中村剛さんに聞きました。
テレビの復権で大型テレビが主流に
家電の電気代は使用時間によって変動するイメージがありますが、じつはテレビの電気代は種類やサイズによっても変わってくるそう。とくにコロナ以降は映像コンテンツの需要が高まりテレビが再評価され、それに伴い「高性能な大型テレビが消費者の人気を集めている」と中村さんは言います。
中村さん「テレビがネットにつながり、さまざまなコンテンツを見逃し配信サービスなどでいつでも視聴できるようになった結果、品質の高いコンテンツを提供するテレビ番組が20〜50代の現役世代の間で再評価されています(※1)。そのため、せっかくテレビを見るなら大画面でゆっくり楽しみたいと、ネットにつながる高機能な大型テレビのニーズが高まっているのです」
テレビのサイズでどれくらい変わる?
実際のところ、テレビのサイズでどれくらい電気代が変わるのでしょうか。中村さんによれば、テレビの表示パネルには大きく分けて「液晶(LCD)」と「有機EL(OLED)」があり、最近は「量子ドッド」という技術で画質を高めているモデルもあるそう。
中村さん「液晶の特徴は映像が明るく製品が豊富なこと。希望のサイズや予算に合った製品を選びやすいというメリットがあります。対して有機ELは黒の表現力に優れ、液晶に比べ画質が高い製品が多い傾向にあります。各メーカーも旗艦モデルには有機EL方式を採用するケースが多いですね」
今回は、シャープの4K有機ELテレビ「AQUOS」のハイグレードモデルである「GQ1ライン」(※2)を例に、サイズの異なる77V型と42V型で1年間にかかる電気代を比較してみました。
なお、年間消費電力量は「省エネ法」にしたがって平均視聴時間(5.1時間)を基準に算出し、電気代は「全国家庭電気製品公正取引協議会」の目安単価に基づき31円/kWh(※3)としました。
上の図のように、大型テレビの77V型は年間8,060円と、42V型の3,813円に比べて倍以上も電気代がかかる結果となっています。こちらはあくまで一例ですが、テレビのサイズが大きくなると電気代が高くなる傾向があることがわかります。
※2:シャープ「AQUOS OLED GQ1/GQ2ライン」
※3:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A」
テレビの省エネ術で年間約1,360円節約できる!
ただし、画面サイズで電気代が変わるといっても、購入後に大きさを変えることはできません。すでにテレビを持っていて買い替えの予定がない場合はどうすればいいのでしょうか。
中村さん「視聴時間を極端に減らしたり音量を小さくしたりすれば節約できますが、せっかくテレビを買ったのなら、テレビ本来の性能を最大限引き出してコンテンツを楽しんでほしいです。
そこで私がおすすめするのが、画面のホコリを1週間に1回、サッと掃除した上で画面の明るさを調整すること。いつも観ていると気づきにくいのですが、テレビ画面にホコリが付着すると明るさが落ち、映像が観づらく感じる場合があります。画面の明るさを調整する前に、まずはホコリがついてないか確認してみましょう。
さらに、テレビをこまめに消すということも大切です。観ていなくてもテレビをなんとなくつけているという人は、案外多いです。意識的に消すことを習慣にすることで、わずかながらも確実に電気代をカットすることができます」
中村さんによると、32V型の液晶テレビの場合、画面の輝度を最適にすることで年間約840円、視聴時間を1日1時間減らすことで年間約520円の電気代が節約できるそう(※4)。
テレビの省エネテクニックをはじめ、上手に家電を使いこなしておトクでエコな暮らしを実現しましょう。
この記事の内容は2024年7月17日時点での情報です。