野菜はまるごと食べたほうが体にいいってホント?

野菜は皮などを剥いて食べるよりも、まるごと食べたほうが体にいいと、聞いたことがある人は多いはず。実際にはどんな効果が期待できるのでしょうか。野菜をまるごと食べるメリットを、レシピとともに紹介します。

今回お話をうかがった方

タカコナカムラさん

料理研究家。ホールフード協会代表。割烹料理店に生まれ、アメリカ遊学後にホールフードの概念を発案。その後表参道の「ブラウンライスカフェ」開業などを経て、「タカコナカムラホールフードスクール」を開校。

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野菜をまるごと食べるとこんなに栄養が!

野菜くずの画像

 

料理研究家のタカコナカムラさんが提唱する「ホールフード(Whole Food)」とは、野菜をまるごと食べることを通じて、暮らしや地球環境のことなどにも目を向けていこうという考え方です。

タカコさん「多くの野菜の皮や根っこには、よく知られる『ビタミン』『食物繊維』のほか、『ファイトケミカル(フィトケミカル)』が豊富に含まれています。ファイトケミカルとは、植物が紫外線や昆虫などから体を守るために作り出す成分のこと。皮や根っこには、特にファイトケミカルが豊富に含まれています」

ファイトケミカルに含まれる「リコピン」「イソフラボン」「アントシアニン」「ケルセチン」といった成分に期待される効能の代表とされるのが、抗酸化作用です。たとえばタマネギの茶色い皮の部分には、白い実の部分よりも多くのケルセチンが含まれていると言います。

皮や根っこ部分には残留農薬や雑菌があると言われていますが、市場に流通する野菜の残留農薬の基準は食品衛生法で管理されています(※1)。ただ、もし気になるという人は、ボウルに50℃のお湯を用意し、そこに野菜を入れて優しく2〜3分洗うと汚れが落ちやすくなります。

※1:東京都保健医療局「野菜や果物についた農薬が心配です。洗浄などで落とすことはできますか? 【食品安全FAQ】

 

野菜を余すことなく食べることで環境にも優しい!

野菜のだしをとる様子

 

ホールフードを意識することで、体はもちろんエコの面でも大きなメリットが生まれます。野菜を余すことなく食べることでゴミが減り、結果的に焼却する際のCO₂削減=地球温暖化対策につながるのです

タカコさん「フードロスという観点では、そもそも買いすぎないことも大切です。食べきれず、無駄にすることがないよう、買い物の時点でも意識をしたいもの。また時季にもよりますが、冷蔵庫より常温で置いたほうが適している野菜(根菜類など)もあるので、上手に保存したいものです」

ホールフードを生活に取り入れることで、栄養面で体に良いだけではなく、まわりまわってエコにもつながる。そんな“暮らしにちょっと良いこと”が生まれるのです。

 

野菜の切れ端や野菜をまるごと使った簡単レシピ

とはいえ、初心者はどのようにホールフードを取り入れればいいのでしょうか。そこで、休日に作って保存しておける「ベジブロス」と、時間がなくてもささっと作れる簡単おつまみをタカコさんに教えていただきました。

中でも、ベジブロスはホールフードの基本。ベジブロスとは、「ベジタブル(野菜)」と「ブロス(ダシ)」を掛け合わせた言葉で、野菜の皮や根っこ、ワタや種まで使って作る万能野菜ダシです。

 

【野菜の切れ端活用】ベジブロス

べジプロスレシピ

 

タカコさん「タマネギの皮やカボチャのワタなど、調理に使えない野菜の切れ端はベジブロスにしてしまいましょう。使う野菜は種類が多いほうが、より多彩な栄養を摂取できます。ベジブロスは炊き込みご飯のほか、カレーや麺類など水を使う料理すべてに活用可能。そのまま飲んでもおいしいですよ」

 

【野菜まるごと活用おつまみ】おひたし

おひたしレシピ

 

タカコさん「野菜の根っこ部分は甘みがあってとてもおいしいんです。根っこは切り落とさず召し上がってください。通常、茹で時間は1分ほどとされていますが、さっと茹でることで、香りが残り、シャキシャキとした食感も楽しめます。ベジブロスがない場合は、一般的なダシ汁でも構いません」

 

【野菜まるごと活用おつまみ】梅ごぼう

梅ごぼうレシピ

 

タカコさん「ごぼうはたわしで泥を落とすように洗い、皮は剥かずに使いましょう。鍋は圧力鍋でなくても大丈夫ですが、その場合の煮込み時間は約20分を目安にしてください」

ホールフードの考え方に沿った野菜の活用法は、コスパやタイパの面でもメリットは多々。レシピも、想像以上に簡単だと思えたのではないでしょうか。さっそく、今日の食卓から取り入れてみては?

この記事の内容は2024年9月18日時点での情報です。