布団は部屋干しでOK⁉外に干さなくても快適にできる方法

春は花粉や黄砂、PM2.5の飛散がピークになる季節。布団を干したいけれど、外に出すのは気が引ける…と、お悩みの方もいるでしょう。そんな時おすすめしたいのが、布団の「部屋干し」です。その方法を、寝具のプロに教えてもらいました。

今回お話をうかがった方

加賀照虎さん

上級睡眠健康指導士。Webメディア「快眠タイムズ」や自身のYoutubeチャンネルで、睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を勢力的に発信中。雑誌・テレビ・ウェブなどの幅広いメディアに多数出演。

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そもそも、布団を干すのは湿気をとるため

布団を干している様子

画像:iStock.com/y-studio

 

布団を干す主な目的は、ずばり「湿気を取り除くため」と加賀さんは言います。

加賀さん人は寝ているあいだに、コップ一杯分(約200mL)の汗をかくと言われています。汗が布団に染み込むと湿気となってとどまり、さらに皮脂などの汚れと合わさってカビやダニが発生する原因になります。これを防ぐために、定期的に布団を干して湿気を取り除くことが大切なのです。加えて、湿気は寝心地の悪さにもつながります。布団を干すことでふかふかした快適さを取り戻せるのも、メリットのひとつと言えるでしょう

布団を干す必要性がわかりましたが、どのくらいの頻度で布団を干すべきかも気になるところ。寝具メーカーが推奨するのは、かけ布団で週1〜2回、敷き布団で2日に1回程度。とはいえ、ただでさえ大きな布団を週に何度も天日干しするのは難しい…という方もいるでしょう。そこでおすすめしたいのが、布団の部屋干し。室内でも、十分に湿気をとばせるなら、もっと気軽に布団を干せるようになりますよね。

 

布団を干すのに「日光」は重要じゃない!?

日光イメージ

画像:iStock.com/RomoloTavani

加賀さんによると、布団を干して湿気を取り除くためには、実は日光にあてることが必ずしも重要ではないのだそう。

加賀さん「太陽光や熱によって殺菌・防ダニが期待できるという説もありますが、実際のところ、布団に対してどこまで効果が発揮できるのかはわかっていないんです。むしろ外に干すことで、布団が汚れる・労力がかかる、というデメリットが生じる場合もあります」

そのほか、布団を日光に長時間あてることにより、紫外線で生地が傷んだり、変色したりする可能性もあるそう。さらに布団の天日干しが、湿気を取るためには逆効果になることもあるのだとか。

加賀さん「日中、湿度が最も低い時間帯は午前10時〜11時ごろ。午後から夕方に向けて湿度は高くなっていくので、あまり長く外に干しているとかえって布団が湿気を吸ってしまうおそれがあります。
湿気をとばすという目的のためなら、部屋干しでも十分に効果があります。花粉などで布団が汚れる心配もなく、部屋の中なら労力も少なくて済みますよね。天気にかかわらず干せるのも利点。ぜひやってみてください」

【コラム】布団たたきは意味がない⁉

布団叩きのイラスト


昔ながらの風景・布団たたき。実は「とくに意味がないと考えられています」と加賀さん。ほこりやダニを舞い上げる原因になるので、やらないほうが無難とのこと。


続いては、布団の部屋干しのコツを詳しく見ていきましょう!

 

「布団の部屋干し」そのポイントを解説

部屋干しする際のポイントは、とくに湿気のたまりやすい「布団の内側」をなるべく空気に触れさせること。椅子などを利用して、布団が「コの字」になるように干すと良いでしょう。

布団部屋干しのコツ

 

マットレスの場合は、底面が空気に触れるよう裏返して壁に立てかけるとよいそうです。

加賀さん「マットレスはとくに冬場、床の冷えが影響して底のほうに湿気が溜まりがちです。ぜひ、定期的に部屋干しをおこなってください」

マットレスを部屋干ししている様子

 

効率よく干すには、空気の流れも大切です。気流の有無により、乾くスピードが1.5〜2倍も変わるというデータもあるのだそう。扇風機やサーキュレーターで風を作れば、しっかりと布団を干すことができます

加賀さん「湿気がいっそう多くなる梅雨の時期は、除湿機やエアコンを活用するのもおすすめです。また、より入念にダニ対策をするなら布団乾燥機で熱を加えるのが確実。コインランドリーの乾燥機でもOKです。乾燥後は布団を掃除機で吸って、ダニの死骸を取り除きましょう」

部屋干しの場合も、推奨される頻度は天日干しと変わらないそうですが、頻繁に干すのが難しいのなら「朝起きたとき、掛け布団はめくった状態にしておきましょう」と加賀さん。

加賀さん「起床後にきれいにベッドメイクをしたい…という方もいると思いますが、そうすると就寝中に染み込んだ湿気が布団に閉じ込められてしまいます。朝布団をめくっておけば、夜の就寝までにある程度布団の湿気を除くことができます。推奨頻度ほど布団が干せなくても、対策が可能ですよ」

花粉が気になる春や、雨の多い梅雨時期も、部屋干しなら気軽に行うことができそうです。それでも腰が重い…という方は、「朝、布団をめくっておく」ことをぜひ習慣化してみては。カラリと乾いた干したての布団で、快適な眠りをキープしていきましょう!

この記事の内容は2025年4月17日時点での情報です。