傘を差しているのに、気づけば服が濡れていたり、足元が泥ハネで汚れてしまったり…。雨の日の外出には、そんなお悩みがつきものです。できるだけ濡れない・汚れないために、今すぐできる工夫はあるのでしょうか。そこで今回は「傘」と「歩き方」の専門家に、その原因と対策を教えてもらいました。天気が悪い日も快適に過ごすために「雨の日の正しいフォーム」を身につけてみませんか?
なぜ傘を差しているのに濡れる&汚れる?
雨だけでなく「風」の影響も大きい
まずは、傘を差しても濡れてしまう原因について見ていきましょう。
須藤さん「雨の日に外を歩くときは、風が吹いてくる方向に向けて傘を傾けがちですよね。すると、その反対側がどうしても無防備になってしまいます」
傘が大きいほどカバーできる範囲も広くなるため、濡れないための近道は「大きな傘を使うこと」。とはいえ、持ち歩ける傘の大きさには人それぞれ限界があります。手持ちの傘でできるだけ濡れにくくなるためのコツは、後ほど解説します。
泥ハネの原因は「歩き方」にあり
一方、足元が水や泥ハネで汚れる原因には、歩き方が深く関係しているといいます。
小野崎さん「地面に向かって足を真上から降ろす“ドスドス歩き”が、泥ハネの大きな原因。合わない靴を履いていると、無意識に靴が脱げないよう足裏を持ち上げるような動きになってしまい、この歩き方になっていることが多いんです」
足を真上から地面に勢いよく振り下ろすと、水たまりや湿った地面に強く接触し、その反動で水や泥が足元から跳ね上がりやすくなります。特にかかとや足裏の平らな面がベタッと接地すると、泥水が前方や横ではなく、真上方向や後方に強く飛びやすいのです。
では泥ハネを起こさないためにはどうすればいいのか、後ほどご紹介します!
雨に濡れにくい「傘の差し方」のコツ
では、雨に濡れにくい「傘の差し方」とは?
先述の通り、濡れないためには傘の大きさが重要ですが、傘の「骨の本数」も、カバー力を決定づける要素なのだそう。傘の基本的な構造はどれも同じですが、傘の上部を支える「親骨」の本数は、6本、8本、16本など、バリエーションがあります。
須藤さん「骨の本数が多いほど傘は円形に近づき、そのぶん雨を遮られる面積が大きくなります。濡れないためには最低でも、8本骨のものを使ってほしいと思います」
ここからが傘を上手に差すコツ。注目したいのは「親骨の位置」です。
身体の前後を濡らしたくないときは、「親骨を目の前に」
須藤さん「傘を開いたとき、親骨が顔の正面にくるように持つと、傘の奥行きがもっとも深くなります」
リュックサックを背負っているときなど、背中側を濡らしたくない場合には特に有効です。
身体の左右を濡らしたくないときは、「親骨と親骨の中心を目の前に」
須藤さん「身体の左右を守りたいときは、親骨と親骨で囲まれた二等辺三角形が目の前にくるように。そうすることで、横方向の範囲がもっとも大きくなるというわけです」
肩掛けバッグやハンドバッグを持っているときや、横に広がる洋服を着ている日には、こちらの持ち方がおすすめだと言えそうです。
【+α】強風時は“持ち手”ではなく“中棒の付け根”を持つ
強い風に抵抗しようと、傘の持ち手を握って踏ん張っていませんか? それが、傘の寿命を縮めてしまっているかもしれません。
この持ち方だと、傘の中心部に過度な力がかかって破損の原因に。傘本来の耐久性を活かすためには、付け根に近い部分を持ちましょう。
須藤さん「雨の日に傘が壊れてしまっては、元も子もありませんよね。傘が持つ本来の機能を十分に活かすことも、大切にしてほしいと思います」
雨の日に「泥ハネしにくい歩き方」のポイント
続いては、足元を濡らさないための「歩き方」を小野崎さんに教えてもらいましょう。
歩くときは「ローリング歩行」を意識
泥ハネの原因は“ドスドス歩き”。足を地面にまっすぐ振り下ろすように歩けば、当然水は跳ねやすくなります。
小野崎さん「これを防ぐには、“ローリング歩行”が効果的。かかとから着地し、つま先で地面を押すように歩きましょう。正しいフォームで歩けば水が後方へ流れ、跳ね上がりにくくなるんです」
歩幅はいつもの7〜8割程度に一歩を小さくすると、なお良いでしょう。
【+α】靴のフィット感も重視する
また、正しい歩き方を実現させるためには「足にフィットする靴を履くことが重要です」と小野崎さん。
小野崎さん「かかとがブカブカせず、脱げないフィット感があればOK。ドスドス歩きではなく正しいフォームで歩きやすくなり、水や泥ハネがしにくくなるのです。自分の足にフィットさえしていれば、靴の種類はスニーカーでもパンプスでも、レインシューズでも大丈夫。靴べらを使って履き、靴ひもはしっかり締めるくらいがちょうどいいでしょう」
歩き方に意識を向けることで、汚れを防ぐだけでなく、体にも良い影響が。
小野崎さん「ローリング歩行では、足の指をしっかりと使います。これによってふくらはぎや足裏のアーチを鍛えられて、血行促進にもつながるんですよ」
「傘は、使う人を“守るもの”。だからこそ、できるだけ長く、大切に使ってほしいんです。消耗品と捉えず、修理をできるものを選んでいただけるとうれしいです」と須藤さん。
そして小野崎さんからは「雨だから汚れてもいい靴を履くしかない…というのは、気分が上がらないですよね。歩き方にも、TPOがあります。雨の日は“雨の日なりの歩き方”で、好きな靴を楽しんでください」とのこと。
ちょっとしたコツで雨の日を攻略すれば、梅雨時のおでかけがもっと楽しみになりそうな予感。今日からできる“雨の日の正しいフォーム”、ぜひ身につけてくださいね。
この記事の内容は2025年6月19日時点での情報です。