空き巣に狙われやすい家はどんな家?

侵入窃盗のうち、大多数を占めるのが「空き巣」。つまり、家人の留守を狙った窃盗です。防犯ジャーナリストの梅本正行さんによれば、空き巣がターゲットにする家には、いくつかの共通点があるのだとか。特に狙われやすい家の特徴と有効な防犯対策について、梅本さんに聞きました。

今回お話をうかがった方

梅本正行さん

一般社団法人日本防犯学校会長、防犯ジャーナリスト。防犯対策の第一人者として、被害に遭ってから施す「後手防犯」ではなく、犯罪被害に遭わない為の「予知防犯」を提唱。1964年からセキュリティ事業に参入し、警察署での署員特別教養講師や犯人逮捕への協力など、警察からの感謝状は400枚を超える。テレビやラジオなどメディアに多数出演。

ウェブサイト

 

空き巣被害が発生しやすいシーズン&時間帯は?

侵入しようとする空き巣

画像:iStock.com/RainerFuhrmann

 

留守中の家屋に侵入し、窃盗をはたらく「空き巣」。被害に遭わないためには年間を通じて対策が必要ですが、特に警戒すべきシーズンや時間帯、シチュエーションなどはあるのでしょうか?

梅本さん「空き巣の被害が多いのは、春と秋の行楽シーズンそれから年末年始。つまり、家族で外出する機会が増える時期です。また、梅雨の時期も特に警戒が必要です。特に、雨が続いて晴れ間が見えたタイミングですね。つい開放的な気分になって、換気のために窓を開け放したまま出掛けてしまうケースが意外と多く、空き巣はその油断を突いてきます。なかでも注意したいのは、お風呂場の窓。格子がついているから窓が開いていても大丈夫だろうと考えがちですが、空き巣犯は簡単に突破してきます」

なお、空き巣に狙われやすい時間帯は、休日の午前10時から12時。朝のうちに掃除や洗濯などの家事を済ませ、10時前後に出かけるケースが多いからだと言います。また、次に被害が多いのが夕方。宵の口を専門とする「宵空き」という言葉もあるのだとか。

梅本さん「空き巣犯は常に家人が出かける隙をうかがっています。公園のベンチやコンビニの駐車場などから、向かいの家の玄関を観察して、人の出入りをチェックしているんです。誰かが出ていくと、すかさずインターホンを押して、反応がなければ侵入を試みるというケースが彼らの常套手段です。また、宵空きは日が暮れたのに部屋の明かりがついていない家を狙ってきます」

 

サインが出ているかも? 空き巣に狙われやすい家の特徴

梅本さんによれば、「空き巣に狙われやすい家」には特徴があると言います。

梅本さん「たとえば、雨が降っているのに洗濯物を干しっぱなしにしているケース1階の車庫に車が止まっていないケースなどは、非常に分かりやすいですよね。特に梅雨の時期は、出かける前に洗濯前を干さないこと。また、車で出かける時は少し面倒ですが、車庫の真ん中に自転車を置いておくなどして、在宅である可能性をにおわせることが大事です。要は、空き巣に留守を知らせるようなヒントを与えないことですね」

この他にも、空き巣にとって「不在かどうか」を見分ける手がかりは少なくないのだとか。

梅本さん「以下の一戸建て・マンションのイラスト、特に変わったところはないように見えますが、じつは“空き巣に狙われやすいポイント”が5つずつあります。どこか分かりますか?」

【一戸建て】

戸建ての家

 

戸建ての家

 

答え

① 駐車場が空っぽ ⇒留守であることがわかる
② 洗濯物を干している ⇒留守であることがわかる
③ ブロック塀などで中が見えづらい ⇒侵入していてもバレにくい
④ カーポート・物置などの足場がある ⇒ベランダに入りやすい
⑤ インターホンが玄関の横についている ⇒敷地内に入っていても違和感がない

 

【マンション】

マンション

 

マンション

 

答え

① 上りやすい位置に雨どいがある ⇒ベランダに入りやすい
② ベランダからみて部屋が真っ暗 ⇒留守であることがわかる
③ オートロック ⇒オートロックだからと安心して自身の玄関に鍵をかけないパターンがある(30%はかけない)
④ 玄関・出入口が外から見えづらい ⇒マンションの玄関から侵入しやすい
⑤ 1階、2階のベランダが目隠しされている ⇒隠されているため侵入してもバレにくい

 

梅本さん「空き巣はこれらのポイントをふまえ、常に“犯行に及びやすい家”を探しています。逆に言えば、犯行が難しい家をわざわざ選んで狙うケースは稀です。重要なのは犯罪者が嫌う対策を施し、ターゲットにされるリスクを減らすことです」

 

手軽にできる防犯対策&おすすめアイテム

防犯グッズ

画像:iStock.com/Onfokus

 

では、具体的にどんな方法が有効なのでしょうか?梅本さんによると、次の5つのポイントを意識すると良いとのこと。手軽にできる対策やおすすめの防犯アイテムを教えてもらいました。

 

(1)音を鳴らす 


梅本さん「まず効果的なのは、音を鳴らして侵入を防ぐことです。侵入者を感知し音を鳴らすアイテムは数多くあります。なかでもおすすめは、『窓ピタッアラーム』という商品。窓の内側に貼り付けるだけで、窓が割られた際や、金属性のものが窓にぶつかった際に大音量のアラームが鳴ります。ガラスの破壊や衝撃のみを検知する仕組みため、誤作動が起きにくいのもポイントです」

 

(2)光を点灯させる 


梅本さん玄関や庭にセンサーライトを付けるのも有効です。また、宵空きに狙われないために、夕方にリビングなどの電気が自動で点くよう、タイマーをセットしておくのもいいと思います」

 

(3)侵入に時間をかけさせる

梅本さん空き巣は侵入に時間がかかりそうな家を避ける傾向があるため、対策を施すだけでも抑止につながります。たとえば、格子を通常よりも防犯性の高い『防犯面格子』にしたり、玄関扉や窓のサッシに鍵付き補助錠を取り付けたりするのも有効です。お金に余裕がある場合は防犯ガラスに変えたり、ホームセンターなどで売られているCPマーク(※)付きの建材を導入したりするとより安心ですね」

※:防犯性の高い建材に付けられるマークのこと

 

(4)防犯カメラ+スマホに通知


梅本さん「定番ですが、防犯カメラも有効な手段です。最近は、センサーで侵入者を検知するとカメラが起動するだけでなく、電気が点いたり、音が鳴ったり、持ち主のスマホに撮影した画像付きで連絡が届くシステムもあります。さらに、スマホを通じて侵入者に声で警告できるものまであるんです。監視の目があると抑止力になりますし、防犯カメラだけでもぜひ導入したいところです」

 

(5)普段から周辺の様子に気を配る


梅本さん「家の周りに見慣れない車が止まっていないか、不審な人物はいないかなど、普段から周辺の様子に気を配ることも大事です。場合によっては、警察に巡回に来てもらいましょう。警察相談専用電話(#9110)では、緊急の事件・事故以外の相談も受け付けていますので、異変を感じた場合は連絡してみるといいでしょう」

 

“空き巣が嫌がる家”にして万全の防犯対策を

梅本さんいわく、空き巣被害を防ぐには、犯人に「面倒くさい家」と思わせるのが鉄則。防犯カメラやセンサーライト、補助錠など、明らかに防犯対策が施されている家は空き巣にとって“面倒”なため、ターゲットから外される可能性が高いと言います。そもそも狙われない、狙わせない家を意識して、万全の防犯対策をしましょう。

 

この記事の内容は2025年6月19日時点での情報です。