夏はとくに危険!モバイルバッテリー発火事故の対策法

外出中のスマートフォンの充電に欠かせないモバイルバッテリー。しかし近年、発火事故が増加しています。とくに気温が高くなる夏場はモバイルバッテリー本体の温度が上昇しやすいため、発火事故のリスクが高まるそう。そこで、安心して使うためのポイントを、電力中央研究所の池谷知彦さんに教えてもらいました。

今回お話をうかがった方

池谷 知彦さん

慶應義塾大学大学院 工学博士。課程修了後、1989年に電力中央研究所入所。現在はシニアアドバイザーとして、二次電池や電力貯蔵、電気自動車などの研究・普及に従事するエネルギーの専門家。

電力中央研究所 ウェブサイト

 

 

近年、モバイルバッテリーの発火事故が増加中!

モバイルバッテリーには、リチウムイオン電池が内蔵されています。高出力・軽量という特長から、スマホやノートパソコンなどにも使われていますが、ここ10年でリチウムイオン電池による火災事故が急増しているといいます1)

 

そして、リチウムイオン電池が使用されている製品の中でも、発火事故の件数はモバイルバッテリーが圧倒的な1位となっているのです。

 

池谷さん「モバイルバッテリーの主な発火原因は、過充電と、高温環境での放置。過充電によって製品内に可燃性ガスが発生し、高温下や衝撃で膨張したガスが破裂・引火してしまうのです」

参考資料
1)東京消防庁「リチウムイオン電池搭載製品の出火危険」

 

 

モバイルバッテリーの発火事故を防ぐポイント

そこで、モバイルバッテリーの発火事故を発生させないために、私たちが気をつけられるポイントを教えてもらいました。

 

【購入時の注意】粗悪品を購入しない

正規品のモバイルバッテリーには、過充電を防ぐための制御装置が搭載されています。しかし、粗悪品にはこの機能がないこともあるため、購入時は、製品本体またはパッケージに「PSEマーク」と「メーカー名」の記載があるかを必ず確認しましょう。

電気用品安全法にのっとり、出荷前に安全検査が実施された製品に付与。モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池には、丸型のPSEマークがつけられます
画像引用:経済産業省「電気用品安全法の概要」

 

池谷さん「ネット通販で購入する場合も、製品の写真や取扱い説明書をWeb上で公開している製品なら、事前に確認することができるので安心です」

 

【使用時の注意】3つのポイントを押さえて安全に使う

PSEマークが付いた製品であれば過充電の心配は少ないですが、それは正しく使用した場合のこと。使用時には、以下の3点を意識するようにしてください。

①純正のアダプターやケーブルを使う
②高温環境では充電しない
③落下など強い衝撃を与えない

 

池谷さん「とくに、暑い場所での充電が最も高リスクです。直射日光のあたる窓辺や、自動車内にモバイルバッテリーを放置するのは、大変危険です。持ち歩きの際は熱がこもらないように、なるべく外気に触れやすい場所に。たとえば、バッグの内側にしまうのではなく、外ポケットに入れるようにするなどしましょう」

また、非純正のアダプターやケーブルを使うと、制御機能が正しく働かず、過充電や発熱を引き起こし、発火につながる危険性あり。

さらに、モバイルバッテリー本体へ強い衝撃があると、電池が破損したり、制御装置の故障を引き起こして発火の原因になったりする場合もあります。

【コラム】ハンディファンの充電にご用心!?

 

夏場によく見るハンディファン(ポータブル扇風機)もリチウムイオン電池が使用されています。こちらをモバイルバッテリーで充電しながら使用するのは、特にリスク大とのこと。

池谷さん「スマートフォンやパソコンにはCPUが搭載されていて、充電をコントロールする機能がありますが、ハンディファンには細かい制御がありません。炎天下で充電しながらの使用は要注意です」

 

【廃棄時の注意】モバイルバッテリーが膨らんできたら廃棄!

リチウムイオン電池が劣化すると、可燃性ガスが発生し、膨らみや歪みが発生することがあります。こうした異変を見つけたら、すぐに適切な方法で廃棄を。

 

池谷さん通常のゴミ回収には絶対に出さないでください。ゴミ処理場に紛れたモバイルバッテリーが発火する事故も発生しています。廃棄時は自治体や家電量販店で回収してもらえるので、お住まいの地域やお店に確認してみてください」

ちなみに、経年劣化したと判断する目安は「充電にかかる時間」。バッテリーの持ちが悪くなった場合などは、廃棄を検討してください。

 

モバイルバッテリーの発火事故が起きたらどうすればいい!?

では、もしモバイルバッテリーが発火した場合には、どう対処したらよいのでしょうか。

池谷さん「煙や火が発生したら、すぐに水を大量にかけてください。モバイルバッテリー程度のサイズなら、それで十分に消火できるはずです。『リチウムイオン電池から水素が発生して危険なのでは?』と聞かれることもあるのですが、発生したとしても微々たる量なので心配は要りません」

 

周囲に燃え広がる前に消火できるのがベスト。燃えやすい布団や紙製品のそばに置かない、充電中は目の届く場所に置くなど、火災が発生した際にすぐ対処できるような備えも大切です。

池谷さん「モバイルバッテリーを含め、リチウムイオン電池の使用シーンは、これからも増えていくことでしょう。だからこそ、正しい使用法を知るのが大切です。モバイルバッテリーにはできるだけ丁寧に接してほしいですね」

便利な道具に危険はつきものですが、正しい使用法を守って、暑い季節も安心して持ち歩きましょう!


この記事の内容は2025年8月14日時点での情報です。