
ごはんを多めに炊いて、ラップに包んで冷凍保存。炊く手間や電気代を節約できる一方で、冷凍するとどうしても味が落ちてしまう……というのがあるあるなお悩みではないでしょうか。実はほんの少しのコツで、炊きたてとまではいかなくても、ごはんの甘みやふっくら感を維持できるんです! そんな冷凍ラップごはんでもおいしさを保つ方法について、お米のプロである秋沢毬衣さんに伺いました。
ごはんを冷凍すると味が損なわれる理由
ふっくらとしてみずみずしい炊きたてのごはん。でも、冷めるとパサついたり、硬くなったりしてしまうことがよくあります。秋沢さんによると、これはお米の主成分であるでんぷんの変化によって引き起こされるそうです。

秋沢さん「冷凍ごはんは、なるべく老化(β化)を防ぎ、炊きたての状態をキープすることで、おいしく食べることができます」
ラップごはんをおいしく冷凍保存&解凍するコツ

冷凍したごはんのおいしさを保つ秘訣は、難しいものではありません。炊く・ラップに包む・冷凍する・解凍する際に意識すべきちょっとしたコツを、秋沢さんに教えてもらいました!
炊き方のコツ:しっかり給水、炊けたらすぐにほぐす
まずは、炊き方の基本から。おいしく炊けないと、どんな方法で冷凍しても、やはり味は落ちてしまいます。まずは炊飯前に、お米を水に浸して、お米の中心部までしっかりと水分を含ませることがポイントだと言います。
秋沢さん「給水時間の目安は、夏場は30分、冬場は60分程度です。このひと手間を加えることで、お米がふっくらと炊き上がり、冷凍保存してもおいしく味わうことができますよ」
炊飯モードは通常通りでOKとのこと。もしお使いの炊飯器に「冷凍用モード」(冷凍用のごはんがおいしく炊ける機能)が搭載されている場合には、ぜひ活用しましょう。
秋沢さん「炊き上がったら、すぐにほぐして余分な水分を逃がしましょう。ほぐさずに放置すると、炊飯器の蒸気をお米が吸ってベチャつきの原因になります」
包み方のコツ:炊きたて直後、アツアツのごはんをふんわりと包む
ごはんが炊き上がったら、すぐにアツアツの状態でごはんを冷凍するのも重要なポイント。熱を含んだままラップに包むことで、水分を保持したまま冷凍できるのだそうです。

秋沢さん「ラップを広げて、その上に一膳分(約150~200グラム)のごはんを置きます。解凍時にムラができないように、ごはんを平らに広げて長方形に形を整えてください。ラップはギュッと押し付けるのではなく、ふんわりと包むと、ふっくらとした食感とツヤを保つことができます」
炊いたごはんには、冷凍庫内の霜や食品の匂いが移りやすいとのこと。ラップで包んでからフリーザーバッグなどの密封できる袋に入れて保存すると、よりおいしさを保つことができるそうです。
冷凍のコツ:粗熱を素早くとって冷凍し、水分が抜けるのを防ぐ
炊いたごはんはできるだけ早く冷凍することで、水分が抜けにくくなり、品質の劣化を抑えられると言います。しかし、まだごはんが熱いまま冷凍庫に入れると、他の食品を傷めてしまう可能性があります。
秋沢さん「ラップで包んだ後、粗熱を取って手で触れる程度になってから冷凍庫に入れるようにしてください。できるだけ早く冷凍庫に入れるのが望ましいため、ステンレスバットなどの冷たいものの上に置いて素早く粗熱を取るのがおすすめです」
もし1〜2日以内に食べる予定であれば、冷凍ではなく冷蔵保存がおすすめとのこと。冷蔵であれば解凍時間がいらないので、電子レンジで温める際に水分が抜けすぎることを防げるのだそうです。
解凍のコツ:解凍モードは使わず、電子レンジで1〜2分
冷凍ラップごはんをおいしく解凍するポイントは、「水分を均一に行き渡らせて、再びふっくら状態に戻すこと」と秋沢さんは話します。よくあるNGは、電子レンジの解凍モードで時間をかけて加熱すること。表面と内部で温度差が生じ、表面だけ水分が出てベチャつき、内部は硬いという状態になりやすいそうです。
そこで秋沢さんがおすすめするのは、電子レンジの通常の加熱モードで一気に加熱するという解凍方法です。

秋沢さん「加熱の目安は500~600ワットで1〜2分程度。一気に温めるのではなく、1分ほど温めたら一度取り出してレンジ対応のお茶碗に移し、軽くほぐして再びラップをかけ、さらに1分ほど温める方法がベストです。余分な水分を逃がして均一に温めることができ、よりおいしく仕上がります」
ちょっとしたコツで、冷凍ラップごはんは格段においしくなる!
米価の高騰や生産者の減少など、何かとお米が話題の昨今。「これまで以上に、お米を大切にいただくことを意識する時代になっています。せっかく購入したお米。炊きたてで味わうことはもちろん、冷凍保存を活用することで残さずおいしく食べていただきたいですね」と秋沢さん。今回教えてもらったポイントは、どれもほんのちょっとしたコツです。この“ちょっと”で、冷凍ラップごはんが格段においしくなりますよ!
※この記事の内容は2025年10月16日時点での情報です。