
秋は、夏に繁殖したダニが大量に死んで、死骸や糞が室内に残る“危険な季節”。人が動いたり掃除をしたりすることで舞い上がり、アレルギーの原因になることがあります。特に赤ちゃんはまだ免疫が十分に備わっていないため、家庭でできる対策には取り組んでおきたいところ。アレルギー対策の専門家である白井秀治さんに、赤ちゃんをダニアレルギーから守るためのアドバイスを聞きました!
なぜ秋もダニ対策が必要なの?
高温多湿の6月~8月にかけて活動が盛んになるダニは、その間に卵を産んで増殖します。寿命はおよそ3カ月と言われているため、糞や死骸が9月以降に大量に増えるのだそうです。
白井さん「子どものダニアレルギーは、生活環境の中で繰り返しダニの糞や死骸などのアレルゲンとなる物質に接触することで、次第に発症していくと考えられています」

つまり、子どもは年齢を重ねるにつれてアレルゲンに触れる機会が増え、発症率も高くなる傾向があるということになります。ですから、赤ちゃんのうちからダニ対策を行い、接触する期間をできるだけ短くすることが重要なのです。
参考資料
1)日本小児アレルギー学会誌 2006;20:109-118
秋のダニ対策のポイントを知ろう
そこで取り入れたいのが、日常生活の中でダニの糞や死骸を適切に取り除く工夫です。
白井さんは、秋のダニ対策における重要なポイントの一つとして「しまい込んでいた秋冬用の布団を取り出し、そのまま使うことは避けましょう」と話します。夏のうちに布団や枕に棲みついたダニの糞や死骸が一気に空気中に放出され、非常に危険だからです。

白井さん「糞や死骸は掛け布団を丸洗いするとほとんど除去されるので、手間と感じるかもしれませんが使用前には必ず洗濯をしてください。さらに乾燥機を併用すると、生き残っているダニを死滅させる効果も期待できます」
また、掛け布団のほかにも「リビングや寝室など滞在時間の長い部屋にある布製品を重点的にケアしましょう」と、白井さん。ソファやクッション、ぬいぐるみ、ラグなど、布で覆われて中に綿が詰まっているアイテムはダニが潜り込みやすい構造のため、まさにアレルゲンが溜まりやすい場所です。しかも、ふわふわしたものは押しつぶしたときに中の空気と一緒に一気にアレルゲンが舞い上がりやすい特徴があります。
白井さん「掃除や布団を敷く際には、なるべく換気を心がけましょう。敷いた直後はダニの糞や死骸が空気中に舞い上がっており、そのまま寝ると吸い込みやすくなりますが、時間をおけば微粒子は重力で床に沈むため、就寝時に吸い込む可能性を減らせます」
忙しくても、家電を活用して効率的に対策!
とはいえ、忙しいパパママにとって細かいケアを毎日続けるのは大変です。そこで頼りになるのが家電の力。白井さんが最もおすすめするのは掃除機です。

白井さん「布製品や床のほこりを吸い取ることでアレルゲンとなるダニの糞や死骸を減らせるだけでなく、ダニの餌となるフケや垢も効果的に減少させます。特に寝室や滞在時間の長い部屋は、1平方メートルあたり20秒を目安に週2回以上の掃除が理想。布団に掃除機をかける場合は、できればシーツを剥がして掃除をするとベストです。シーツをしたままでは、その下に潜むダニを吸い取ることは、ほとんどできません」
また、空気清浄機も心強い味方です。掃除をする際には換気が大切ですが、冬場は寒くてどうしても躊躇してしまうもの。空気清浄機を稼働させると、アレルゲンとなるダニの糞や死骸を含むホコリを効率的に捕集できます。

白井さん「舞い上がったホコリが落下する時間は、自然放置だと60分ですが、ファンフィルター式の空気清浄機を使うと20分から40分に短縮されるという調査結果もあり、空気中に漂っているアレルゲンを吸い込むリスクを減らせます。滞在時間の長い場所、特に寝床の近くに設置すると、寝ている間に吸い込みやすいアレルゲンを効率よく除去できるため効果的です」
さらに、ぬいぐるみなど洗濯が難しいものにはスチームクリーナーを活用するのもおすすめ。その際、湿気がこもると悪影響なので掃除後には乾燥をさせることも忘れずに。ちなみに、寒い冬に大活躍する布団乾燥機は、ダニの死滅効果や増殖抑制には効果抜群ですが、アレルゲン除去の効果はないので注意しましょう。使った後は掃除機で隅々まできれいにすると安心です。

白井さん「家電を上手に取り入れれば、リスクを減らすことは十分に可能です。掃除機も、吸引力さえあればどんなメーカーのものだってかまいません。暮らしに合った家電を選ぶことで、無理なく続けられるダニ対策が実現します」
【コラム】ダニのすみかを作らないために
「週に2回も掃除機をかける余裕がない」「本当に対策できているか不安」といった場合は、ダニが好まない環境づくりに視点を向けてみるのもおすすめです。
例えば「ぬいぐるみは飾り専用にし、子どもの手が届かない場所に置く」「ソファを布製から革張りに変える」「ラグを敷かない」「ダニの侵入を防ぐ防ダニ布団やカバーを用いる」などの工夫で、ダニが潜り込む余地を減らせます。
無理のない対策で、家族の安心を手に入れよう!
子どもをアレルギーから守るには、布製品のケアと家電を活用した効率的な取り組みがカギとなります。
完璧を目指す必要はありません。家族の生活リズムに合わせて無理なく習慣化し、安心して秋を過ごせる住環境を整えていきましょう!
※この記事の内容は2025年10月16日時点での情報です。