
花粉症や季節の変わり目の風邪などで、鼻水が止まらない……。そんなとき、力いっぱい鼻をかんでスッキリさせようとしていませんか。間違ったかみ方が習慣化すると鼻の粘膜や鼻まわりの肌トラブルを招き、場合によっては深刻な病気の原因になることも。今こそ知っておきたい鼻の正しいかみ方と、かんだ後のケア方法について耳鼻咽喉科専門医の長友 孝文さんに伺いました。
今すぐやめたい、NGな鼻のかみ方

ついやってしまいがちな鼻のかみ方の中には、耳や鼻に負担をかけてしまうものがあると長友さん。まずは、注意すべきポイントを教えていただきました。
勢いよくかむ
鼻水や鼻づまりを一気に解消しようとして、勢いよくかむのは避けましょう。
目安としては、息を一気に吐き切るように「フンッ」と強く吹き出すかみ方や、鼻の奥がツンと痛くなるようなかみ方は力が入りすぎているサインです。
強い圧力がかかると、鼻水が耳管を通って中耳に入り込み、中耳炎を引き起こす可能性があります。また、粘膜が腫れて、かえって鼻づまりが悪化することもあります。
両鼻を同時にかむ
両方の鼻を同時にかんだ場合は、圧力の逃げ場がなくなり、耳や鼻への負担が大きくなるといいます。副鼻腔に鼻水が押し込まれ、副鼻腔炎につながるケースもあるため注意が必要だといいます。
乾燥している状態でかむ
鼻の粘膜はとても薄く、水分を含んでいることでやわらかさを保っています。鼻の中が乾いているときや、鼻水がほとんど出ていない状態でかむと、摩擦が強くなり、粘膜が傷つきやすくなります。
花粉症や風邪の時期は、くしゃみや鼻をかむ回数が増えることで、粘膜の水分が失われやすくなっていることも。乾いた状態で何度もかみ続けると、小さな傷ができ、鼻血が出やすくなることがあります。
長友さん「花粉症の場合、花粉の影響で鼻の粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなり、圧力が逃げにくくなっています。また、風邪の場合は鼻水に含まれる菌やウイルスが多いため、より慎重にかむ必要があります」
アフターケアまで抜かりなく。正しい鼻のかみ方
間違ったかみ方を避けるだけでもトラブルは防げますが、正しい方法を知っておくことで、鼻や耳への負担をさらに減らすことができます。鼻をかむ前の準備から教えてもらいました。
鼻をかむ前にワセリンで保護
鼻をかむ回数が増えると、ティッシュとの摩擦によって鼻まわりの皮膚が荒れやすくなります。かむ前に小鼻の周りや鼻の入り口にワセリンを薄く塗っておくと、油膜が摩擦をやわらげ、肌トラブルの予防につながります。
また、鼻の中が乾燥していると感じるときは、綿棒などでワセリンを粘膜の内側にごく薄く塗るようにすると、乾燥対策にもなり、かむときのダメージを軽減できます。
長友さん「保湿成分を含んだ柔らかいティッシュを選ぶとさらにいいでしょう。これを意識するだけで、後々の肌トラブルを防げます」
やさしく片鼻ずつかむ
必ず片方の鼻を押さえて、一方ずつかみます。息を吐く勢いを利用して、数回に分けて少しずつ押し出しましょう。

長友さん「ポイントは、かむときに口を少し開けること。圧力が口の方へ逃げ、耳への負担を軽減できます。また、鼻を強く“吹き出す”のではなく、ティッシュを鼻に当てて、息を静かに吐きながら外に出すイメージでかみましょう。かんだ後は、ゴシゴシ拭き取らず、鼻水を吸い取るようにやさしく押さえてください」
かんだ後もワセリンで保湿
かんだ後は、再びワセリンを鼻のまわりや粘膜に塗って保湿を。ダメージを受けた粘膜の回復をサポートできます。
長友さん「メントールを配合したクリームを鼻の近くに塗るとスーッとして一時的に鼻が通ったような感じがしますが、刺激が強いので、鼻の粘膜に使用するのはNGです」
鼻をかむ際のあるある悩みはどうすればいい?

正しい鼻のかみ方をしても、鼻の調子が悪い際には別のお悩みがついてまわることも。よくある鼻トラブルについて、長友さんに聞きました。
鼻をかんでもスッキリしないときは?
正しい方法でやさしくかんでも、鼻をかみきれたように感じない人がいるかもしれません。
長友さん「かんでもスッキリしない時は、それ以上かまずに、鼻を蒸気で温めてみてください。40〜50℃のホットタオルを鼻の付け根に当てると、湿気と温度によって鼻水の粘り気が弱まり、スムーズに出やすくなります。お風呂上がりにかむのも効果的です」
鼻血が固まってしまったらどうする?
鼻をかむと鼻血が出ることがあります。鼻血はかさぶたになって固まりやすく、無理に剥がすと再び出血してしまうことも。
長友さん「鼻血が固まってしまった場合は、ホットタオルを鼻の付け根に当てるなどして柔らかくしてから、やさしく取り除いてください。ワセリンを綿棒などで粘膜に薄く塗り、しっかり保湿して粘膜の再生を待ちましょう」
「片鼻ずつ、口を開けて、やさしく」を習慣化!
「片鼻ずつ、口を開けて、やさしく」を心がけることで、鼻や耳、肌へのダメージを最小限にとどめることができます。
長友さん「どうしても改善しない場合は無理せずに、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。辛いシーズンを少しでも快適に乗り切りましょう!」
※この記事の内容は2026年3月12日時点での情報です。