トイレでスリッパを使わない家庭が増えている!?

トイレにスリッパを置くのは当たり前——そんな価値観が少しずつ変わりつつあるようです。SNSでも「スリッパがないほうが掃除がラク」「スリッパがあるとかえって不衛生では?」など、スリッパ不要派のさまざまな意見が見られます。そこで、多くの家庭を訪問してきた掃除の専門家・有賀照枝さんの知見をもとに、実際のところ、トイレにスリッパは必要なのかどうかを解説してもらいました。

今回お話をうかがった方

有賀 照枝さん

整理収納コンサルタント、ハウスクリーニング技能士。ハート・コード代表取締役。2007年から家事代行・整理収納サービス開始。
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なぜ? トイレでスリッパを使わない家庭が増えている理由

有賀さんによると、実際にトイレにスリッパを置かない家庭は、特に若い世代を中心に少しずつ増えている印象があるといいます。

有賀さん「まず、住宅の間取りや建築様式の変化です。かつてはトイレが廊下の奥などに設けられ、段差によって生活空間と物理的に区切られていることも多かったため『ここから別の場所』という意識が自然と生まれ、スリッパに履き替えるのは当たり前の習慣でした。ところが近年は、バリアフリー化やデザイン性を重視した設計が広まり、廊下やリビングと床が地続きになっているトイレも多く見られます。段差も境界線もなくなったことで『別の場所』という感覚が薄れ、スリッパで区切る意識も自然と薄れてきているのかもしれません

さらに有賀さんは、ミニマル志向の広まりや住宅設備の進化も影響していると言います。

有賀さん物をできるだけ持たないという意識が高まり、スリッパだけでなくトイレマットも置かない家庭も増えています。また、汚れが付きにくい素材や自動洗浄機能など、トイレ設備の衛生性能が格段に上がったことで、以前のように『トイレは汚い場所』という感覚を持ちにくくなっているということも考えられます。スリッパを履かなくても大丈夫、と感じる人が増えるのは自然な流れかもしれません」

トイレにスリッパは必要? 専門家が考える衛生面のポイント

衛生面を考えた場合、トイレにスリッパは必要なのでしょうか? 有賀さんの考えとしては「基本的にはスリッパを使った方がいいと考えています」とのこと。

有賀さん「一見きれいに見えても、トイレには尿の飛び散りや、衣類を脱ぎ着する際に落ちるホコリや髪の毛、トイレットペーパーの細かな紙粉など、さまざまなものが床に落ちています。また、ノロウイルスや大腸菌などの菌が足裏に付着すると、そのままリビングなど他の部屋に持ち込んでしまう可能性があります。完全に防ぐことは難しくても、スリッパを使うことで生活空間とトイレを分けることができ、衛生面では安心感があると思います」

もしスリッパを使わないのであれば、床をこまめに掃除し、男性は座って用を足し、トイレの蓋を閉めて流すなど衛生対策をきちんと行う必要があるそう。大切なのは「トイレの汚れを生活空間に広げない」という意識だと言います。

とはいえ、ユニットバスと一体になったトイレの場合など、スペースが狭くスリッパを置けないことも。

有賀さん「その場合はユニットバスの外にマットを敷き、トイレを使ったあとに足裏をシュッシュッと擦るだけでも、菌は広がりにくくなりますよ」

トイレを清潔に保つスリッパの選び方と正しい使い方

「ただしスリッパを使うことにしたとしても、それだけで衛生面が担保されるわけではありません」と有賀さん。スリッパそのものを手入れせずに使っていると、汚れが溜まる原因になることもあります。

衛生的に使うためには、週に1回はトイレスリッパを手入れするのが理想とのこと。手入れをしやすくするために、次について意識するとよいとのことです。

掃除しやすいトイレスリッパを選ぶ

毎回スリッパを洗濯にかけるというのは大変なので、拭いて綺麗にできるスリッパを選ぶのがよいと言います。

有賀さん水拭きできる合成素材のスリッパを選ぶのがおすすめです。表面に凹凸の少ないツルッとしたデザインであれば、汚れも溜まりにくくなります」

トイレ掃除のついでにスリッパも綺麗にする

トイレ掃除をする際にスリッパも一緒に手入れする習慣をつけると、週1回の手入れが続きやすくなるそうです。

有賀さん「掃除の手順としては、まずトイレマットを綺麗にし、トイレの外に出しておきます。次に便器、そのあとに床の奥から掃除を行い、最後にスリッパを拭いて、マットを戻します。スリッパの拭き方は、足裏が接する部分、側面、底面の順に行いましょう」

トイレスリッパは「使う・使わない」より衛生管理が大切

トイレにスリッパを置くかどうかは、住宅の間取りや家族構成、掃除習慣、介護やトイレトレーニングなど家族の事情によって考え方が分かれます。スリッパを使うことで空間を分ける方法もあれば、置かずにこまめな掃除で清潔を保つ方法もあります。

大切なのは、トイレの汚れや菌を生活空間に広げないこと。この機会にまずは自分の家のトイレの状況を見直し、スリッパが必要かどうかを判断することから始めてみましょう。

※この記事の内容は2026年4月16日時点での情報です。