
エアコンの買い替えを考えつつ、「まだ使えるし、もう少し先でもいいかな」と後回しにしていませんか? そこで気になるのが最近話題になっている「エアコン2027年問題」。家庭用エアコンの省エネ基準見直しにより、「エアコンは急いで今のうちに買うべき」という声が挙がっています。一体、その理由とは。専門家の見解をもとに解説します。
なぜ今、「エアコンの買い替えは早めに」と言われているの?
中村さんによれば、「エアコン2027年問題」の背景にあるのは、日本が長年進めてきた「省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)」の存在だといいます。

中村さん「1970年代のオイルショック以降、日本は省エネ法をもとにエネルギー消費効率の改善を目指してきました。この基準が2022年に見直され、2027年から、メーカー各社に新しい目標が課されることになります」
省エネ性能を表す指標に「APF(Annual Performance Factor:通年エネルギー消費効率)」があります。たとえば、一般的に8~10畳用の機種である2.8kWのエアコンでは、現状APF5.8の基準が求められています。これが新基準では、APF6.6に1)。省エネ効率としては、13.8%の向上を目指すことになります。

新しい基準をクリアするために、製造コストも大きくなるでしょう。その結果、製品価格が上昇する可能性も考えられます。こうした背景から、「エアコン2027年問題」が提起されているのです。
言い換えれば、2027年になる前にエアコンを購入することで、価格を抑えられるかもしれない……ということ。
しかしながら、中村さんは「2026年のうちに買っておかないと!と焦る必要はありません」と言います。
中村さん「今やエアコンはグローバル展開しているメーカーも参入しており、価格帯も含めて選択肢は広がっています。2027年以降、すべてのエアコン製品が一様に高額になるとは考えにくいでしょう。あくまで予想ですが、むしろ技術競争が前向きに働いて、省エネ基準を満たしつつもリーズナブルな機種が新たに登場することも考えられます」
新しい省エネ基準のエアコンを導入すれば、それだけ冷暖房のランニングコストも削減できるということ。つい目先の価格変動が気になってしまいますが、こうしたポジティブな変化も理解しておきたいところです。
2027年を見据えた、エアコンの選び方のポイント
とはいえ、もしエアコンの買い替えを検討しているならば、早めの行動がおすすめであるのも確かです。その理由は、真夏の需要集中です。

中村さん「熱中症リスクが顕在化している現在、夏場に購入・設置工事が集中しがちです。したがって、梅雨明け~真夏のあいだは買い替えや新規購入は避けるのが賢明です。まずは夏が来る前にエアコンを試運転して、きちんと動くかチェックしておくといいでしょう」
故障の予兆があれば、早めの買い替え対応を。2027年の省エネ法改正を見据えて、選び方にポイントはあるのでしょうか。
中村さん「そもそも、エアコンの価格は省エネ性能だけで決まるものではありません。高価格帯の機種には空気清浄機能や自動お掃除機能など、+αの働きがあるもの。やみくもに値段だけで選ぶのではなく、自身に必要な機能と予算のバランスを見ながら購入できるといいですね」
省エネ重視の場合
長期的に電気代を抑えたい、省エネ重視派はぜひAPFの値を確認してみましょう。
中村さん「APFは高いほどよいです。ただ、小数点以下の細かな数字にこだわる必要はありません。エアコン内部が汚れるとAPFは低下するため、メンテナンスも重要。上位モデルはAPFの数値も高いですし、自動お掃除機能が充実したものも多くおすすめです」
価格と性能のバランス重視の場合
省エネ性能を重視しつつ、少しでも予算を抑えたい場合は、マメに販売価格のチェックを。
中村さん「中位モデルを選びつつ、店舗で価格交渉しながらのセレクトになるでしょう。メーカーの販促イベントで値引きを狙ったり、自治体の補助金を活用したりして工夫してみてください」
なお、部屋の気密性や断熱性能でも、求められるエアコンのスペックは変わってきます。部屋の畳数だけでなく、木造・鉄筋といった住宅構造も視野に入れて選ぶこともポイントです。家電量販店の店員さんに相談してみるのもよいでしょう。
中村さん「断熱性能の高い家であれば、エアコン性能が多少低くとも、快適さを維持しながら電気代を抑えることが可能です。少しハードルが高いかもしれませんが、根本的な省エネを狙うのであれば、窓や壁などの断熱工事を検討するのも選択肢のひとつです」
【コラム】冬にこそ真価を発揮する!エアコンのエネルギー効率
エアコンというと夏場のクーラーのイメージが強いですが、実は暖房としてのポテンシャルも非常に高いのだそう。
中村さん「エアコンは『ヒートポンプ』という仕組みで部屋の温度をコントロールします。これによってヒーターやストーブよりもずっと少ないエネルギーで稼働できるのです。電気代を抑えたい人ほど、実はエアコンがぴったりなんですよ」
「エアコン2027年問題」を、快適なくらしのきっかけに!
「2027年問題」と聞くと、何やら怖い印象を受けるかもしれません。しかし、その実態はけっして暗いものではありません。

中村さん「省エネ=我慢して節約することではないんです。省エネとは、同じ快適さをキープしながら、エネルギーコストを下げること。日本の家電性能は、厳しい省エネ基準があってこそ進化したもの。2027年の変化を前向きに捉えて、この機会に自宅のエアコン性能について、改めて考えてもらえたらと思います」
そしてエアコンに限らず、壊れたら買うのでは無くて、計画的にポジティブな購入がおすすめです。
快適な毎日を過ごすために、早めの行動が安心につながります。まずは、自宅のエアコン稼働チェックから始めてみましょう!
※この記事の内容は2026年4月16日時点での情報です。
