
お気に入りのスニーカーが雨でびしょ濡れに。早く乾かそうと、ついドライヤーを当てたくなりますが、実はその「熱」が寿命を縮める原因になるかもしれません。大切な靴を長く履き続けるための正しいケアをスニーカークリーニングのプロに教えてもらいました。
なぜドライヤーがスニーカーの大敵なの?

濡れた靴を前にすると、ドライヤーの温風で一気に乾かしたくなるもの。しかし森好さんは「スニーカーのケアでは、できるだけ熱を与えないのが基本」だと言います。
森好さん「実は、スニーカーに使われている素材の多くは熱に弱いんです。たとえば靴底を固定している接着剤は、熱を加えると剥がれやすくなってしまいます。また、ボディ部分のメッシュやレザーも熱によって変形や縮みを引き起こしますし、クッションに使われるスポンジのような素材(EVA素材)も、熱でギュッと縮んでしまうんです。お気に入りの一足を台無しにしないためにも、ドライヤーの使用は避けたほうがいいですね」
ちなみに、衣類乾燥機も同じ理由で避けたい選択肢とのこと。熱によるダメージに加え、中でグルグル回ることで靴同士がぶつかり、衝撃まで加わってしまいます。
これが正解!プロが教えるスニーカーの乾かし方

では、雨で濡れたスニーカーを正しく乾かすにはどうすればいいのでしょうか。3つのSTEPで見ていきましょう。
STEP①紐と中敷きを取り、表面の水分を拭く

まず、帰宅したらすぐに靴紐と中敷き(インソール)を取り外します。次に、吸水性の高いタオルやキッチンペーパーを使い、表面の水分と汚れを優しく拭き取りましょう。
森好さん「スニーカーの中に手を入れて、内側からもグッと押さえるようにして水分を吸わせてください。紐を通す穴(ハトメ)に溜まった水分もしっかり拭き取ることが、カビや色ムラを防ぐコツです」
STEP②中に紙を詰め、内部の湿気を取る

続いて、キッチンペーパーや無地の紙を、空気を含ませるようにふわっと丸めて中に詰めます。形を整えながら、奥の湿気まで吸い取らせましょう。
森好さん「新聞紙など印字されている紙は、インクが靴に移ってしまう恐れがあります。特に白いスニーカーには印字された紙の使用を避けるか、キッチンペーパーでくるんで使うといった工夫をしましょう」
STEP③風通しのいい日陰で乾燥させる

直射日光の当たらない風通しのいい日陰で数日間干します。スニーカーは高温に弱く、直射日光に当てると素材の劣化・変色・接着剤の剥がれを招く恐れがあるためです。つま先を上にして立てかけると、水気が下に落ちやすく、効率的に乾かせます。
森好さん「ずぶ濡れの場合は、中に詰めた紙をこまめに交換してください。さらに扇風機やサーキュレーターの風を当てると、驚くほど早く乾きますよ。シュータン(足の甲と靴紐の間に入っているパーツ部分)の部分も広げて、内部にまで風が届くようにしましょう」
丁寧に乾かす時間がない!そんなときはどうすればいい?

とはいえ、「夜遅くに帰宅して、明日も同じ靴を履いていきたい」というとき、時間をかけて自然乾燥を待つのは現実的ではありません。かといって、ドライヤーで無理やり乾かすのは靴を傷める原因になります。そんな「時短でなんとかしたいとき」の最低限の対策はあるのでしょうか。
森好さん「本当に時間がないときは、とにかく『水分を吸い出すこと』と『風を当てること』に全力を注いでください。まず、吸水性の高いタオルで内側までしっかり水分を拭き取り、吸水性の高いキッチンペーパーを詰めて形を整えます。あとは扇風機を至近距離に置き、角度を変えながら満遍なく風を当てましょう。これだけで、何もしないよりずっと早く乾きます」
ただし、表面が乾いていても靴の内部まで乾ききっていないことも多く、森好さんはこう続けます。
森好さん「濡れた翌日に無理に履くと、残った湿気が原因で一気に傷みが進んでしまうことがあります。そもそも足は1日でコップ1杯分(約200ml)もの汗をかくと言われていて、晴れの日でも靴の中は思いのほか湿っています。本来は数足を2〜3日ごとにローテーションして履くのが理想で、スニーカーは毎日履くものではないんです。雨の日はそれを見直すきっかけにしてもらえたらうれしいですね」
正しいケアで、雨の日も怖くない!

濡れたスニーカーをどう扱うかは、お気に入りの一足の寿命を左右する分かれ道。もし、ドライヤーで変形させてしまったり、素材が傷んでしまったりしたときは、諦める前に専門店に相談してみてください。プロの技術であれば、トラブルが拡大した後でも修復できる可能性があります。雨の日も正しいケアを習慣にして、大切なスニーカーを長く履き続けましょう。
※この記事の内容は2026年6月18日時点での情報です。