麦茶の作り置き、おいしく飲めるのは何日まで?

暑い夏、冷蔵庫に欠かせない作り置きの麦茶。大きなポットで作って、数日かけてゆっくり飲んでいませんか? 実は麦茶はほかのお茶と比べてとても傷みやすく、冷蔵庫に入れていても雑菌が増殖し、お腹の調子を崩す原因になることも。おいしく安心して飲むためのポイントを、食品の衛生管理のプロにうかがいました。

今回お話をうかがった方

香川 葵さん

株式会社食品微生物センター 検査事業部 お客様サポート課 課長代理・管理栄養士。食中毒菌をはじめとする微生物の専門機関にて、食品の細菌検査や衛生管理の指導に従事。管理栄養士としての専門知識を活かし、家庭で実践できるリアルな衛生対策を分かりやすく発信している。

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作り置き麦茶には雑菌がいっぱい!?

画像:iStock.com/Hanasaki

「お茶ならどれも同じ」と思いがちですが、実は傷みやすさの点で、麦茶にはほかのお茶とは決定的な違いがあります。その理由は、麦茶の原料にあると言います。

香川さん「最大の違いは、麦茶が『穀物』を原料としている点です。葉を原料とする緑茶や紅茶には抗菌作用を持つポリフェノール(カテキン)が含まれていますが、麦茶にはそれがほとんど含まれていません。そのうえ、穀物由来の炭水化物(糖質)を多く含んでいるのが特徴です。雑菌はこの炭水化物をエサにして増殖するため、麦茶は菌にとって非常に居心地のいい環境なんです」

画像:iStock.com/dashtik

原料の問題に加えて、家庭で作る麦茶には気をつけたい点がもうひとつあります。市販のペットボトル飲料は工場で加熱殺菌したうえで密封されていますが、家庭で作る場合は、どうしても空気中の菌が混入しやすいのです。

香川さん「家庭では菌の混入を完全に防ぐことは難しく、匂いや色の変化、濁りで異変に気づいたときには、すでに菌が大量に増殖していることも少なくありません。たとえ見た目に変化がなくても、時間が経てば飲まないほうがいい状態に達している場合があります。お子さまや高齢者、体調が優れない方は特に影響を受けやすいため、『作ってから何日経ったか』を意識して、早めに飲み切るようにしましょう」

 

「冷蔵保存で1週間」はもたない?正しい保存期限

実際のところ、冷蔵庫に入れておけば何日くらい保存できるのでしょうか。私たちが思っている以上に、その期限はシビアなようです。

香川さん「家庭で作る麦茶の場合、おいしく飲めるのは冷蔵保存で3日以内が目安です。抗菌成分がなく栄養が豊富な麦茶は、数日経つと菌の数が爆発的に増えてしまうため、『1週間くらいは平気』と過信しないことが大切です」

 

長持ちさせるための、正しい作り方と保存のコツ

菌の増殖を抑えるためには、作る段階での「温度管理」と、日頃の「容器の清潔さ」が欠かせません。それぞれのポイントを見ていきましょう。

① 抽出方法による注意点

画像:iStock.com/ vinicef

煮出しと水出しでは、それぞれ注意点が異なります。

煮出し麦茶の場合は、火を止めたあとの冷却が最大のポイントです。

香川さん「細菌が爆発的に増えるのは、20度〜40度という体温に近い温度帯です1)。煮出したあと、室温で放置してじわじわ温度を下げるのは菌に増殖の時間を与えているようなもの。やかんを氷水にあてるなどして一気に粗熱を取り、すぐに冷蔵庫へ入れましょう」

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一方、水出しの場合は抽出中から冷蔵庫に入れるのが鉄則です。

香川さん「水出しであっても常温放置は避け、作り始めた瞬間から冷蔵庫に入れるようにしてください。また、パッケージに記載された抽出時間を過ぎたら、必ずパックを取り出しましょう。入れっぱなしにすると栄養分が過剰に溶け出し、菌の繁殖を助けてしまいます。取り出す際は、清潔な箸などを使い、直接手が触れないようにするのもポイントです」

参考資料

1)内閣府 食品安全委員会「食中毒菌の科学的基礎データ 【図表】主な食中毒菌の科学的データ 細菌の増殖曲線(イメージ)

 

② 容器の管理と「継ぎ足し」厳禁

画像:photo AC

意外と見落としがちなのが、容器の衛生管理です。本体はもちろん、特に汚れが溜まりやすいフタの裏の「パッキン」は、週に1〜2回は取り外して漂白剤で除菌しましょう。

香川さん「プラスチック製の容器は、長く使うと目に見えない細かな傷がつき、そこに菌が入り込んで洗い落とせなくなることがあります。パッキンの隙間と同様に菌が残りやすいため、より衛生的に使うなら、傷がつきにくいガラス製の容器を選ぶのもひとつの手ですね」

また、新しく作る際の「継ぎ足し」も絶対に避けたいポイントです。少し残っているからと、そのまま新しい麦茶を注いでしまうのは禁物です。

香川さん「古い麦茶が残った容器に新しいものを継ぎ足すと、残っていた菌が新しい麦茶をエサにして一気に繁殖してしまいます。必ず一度空にして、容器をリセットしてから新しいものを作るようにしましょう」

 

ひと手間で安心!正しく保存して麦茶をおいしく飲みきろう

画像:iStock.com/ vinicef

暑い夏に欠かせない麦茶だからこそ、毎日口にするものを正しく管理したいもの。「清潔な容器で作り、なるべく早く飲み切る」。このちょっとしたルールで、いつもの麦茶をより安心して飲めるようになります。日々のひと手間を惜しまず正しく保存して、家族みんなで元気に夏を過ごしましょう!

 

※この記事の内容は2026年6月18日時点での情報です。