気温が徐々に高まり、冬服から春服へ着替える季節がやってきました。衣替えを行う際、ハンガーに吊るすべきか、たたんでしまうべきか、迷うことはありませんか? 洋服ごとに正しい収納方法を、整理収納アドバイザーのすはらひろこさんに教えてもらいました。
吊るして収納するのは「コート」や「ジャケット」
ハンガーで吊るす収納に適しているのは、「織物」でできた洋服。コートやジャケット、スーツ、ズボンのように、かっちりとしたシルエットの洋服が該当します。
すはらさん「縦糸と横糸で構成されたしっかりした生地が特徴です。たたむとシワになりやすく、型崩れすることもあるため、吊るして収納するのが基本です」
ポイントは、ハンガーの種類を揃えておくこと。ジャケット・コート用、スカート・ズボン用のハンガーと、それぞれのカテゴリごとにハンガーを揃えて使用するとよいそうです。ジャケットやコートなど、肩の形を崩したくないものは、厚みのあるハンガーを。スカートやズボンは、ピンチのついたハンガーを用意しておきましょう。
すはらさん「こうすることで、クローゼットのなかがすっきりとします。見た目にも美しいだけでなく、洋服の選びやすさも変わりますよ」
ハンガーの向きを揃えてかけることも、整理整頓のコツ。前部分がボタンやファスナーで開くタイプの洋服は、必ず閉じておきましょう。また、クローゼットへの詰め込みすぎには要注意!
すはらさん「洋服を選ぶ際に左右に動かせる程度の余裕は残しておきましょう。ハンガーが動かせなくなった時は、中身を見直すタイミングかもしれませんね」
たたんで収納するのは「セーター」や「スウェット」
続いて、たたんで収納しておきたいのは「編物」でできた洋服です。糸がループ状になっているのが特徴で、セーターやカットソー、Tシャツやスウェットもこちらに分類されます。
すはらさん「やわらかい素材のため、吊るすとハンガーの跡がついたり、伸びたりすることがあります。たたんで収納するのがベストです」
収納場所にすはらさんがおすすめするのは、カラーボックスのような棚よりも、引き出しタイプのケース。
すはらさん「棚に洋服を積み重ねて収納すると、下の方から崩れることがあるのが難点。引き出しケースを上手に使えば、取り出しやすくシワになりにくい収納が叶います」
ポイントは、各洋服を同じサイズになるようにたたむこと、そして「縦」に入れることです。こうすることで、すっきりと管理しやすい収納に! 厚みのあるセーターなどは、くるくると巻いてもOKです。
モヘア素材など、抜け毛が気になるものは袋に入れて収納。とくにシワが気になるものは、タオルを挟んでたたむのもおすすめです。
すはらさん「引き出しケースは深さ20cm程度のものを目安にするとよいでしょう。たくさん入りそうだから、と30cm以上の深さのものを使うと、知らず知らずのうちに積み重ねた洋服が底に溜まってしまいがち。気づいたころにはシワシワ……ということも」
次の衣替えに向けて知っておきたい! 衣替えをラクにするコツ
さて、そうは言っても毎年の衣替えが億劫で腰が重い人もいるでしょう。衣替えを少しでもラクにするためのコツを、すはらさんに聞いてみました。
すはらさん「“衣替えはいっぺんにしなくてOK”と考えましょう! 気温の変化にあわせて少しずつ衣替えするのがおすすめです。まずは真冬にしか着ない洋服からしまいましょう。吊るすにしろたたむにしろ、“真冬専用”の洋服は普段から一箇所にまとめておくと、ラクだと思います」
極端な話、「衣替えをしない」ことも可能なのでしょうか?
すはらさん「実際にそういった方もいらっしゃいます。コツはズバリ、持っている洋服を少なくすること。1年間で着る服を、すべてクローゼットに収まる状態にしておくことです。この時、きちんとシーズンごとに分けて収納するのがポイントですね」
なかなかその境地に至るのは難しそうですが、「衣替えの時期は、洋服の数を見直すタイミングでもあります」とすはらさん。1年着なかった、サイズが合わなくなった、流行遅れになってきた……そうした洋服を処分して、自宅の収納と見合うよう調整することも、この機会に取り組んでおきたいですね。
衣替えは自分のスタイルを見直すチャンス!
「衣替えはただ洋服を入れ替えるだけではなく、自分のファッションのスタイルを改めて考える機会。自分の好きなものを選び取っていく気持ちで、楽しみながら取り組んでほしいです」とすはらさん。
今回ご紹介したポイントは、冬から春の時季だけでなく、夏から秋冬のタイミングでも使える衣替えの基本。ちょっぴり億劫……という方も、この記事を参考にして第一歩を踏み出してみてくださいね。
この記事の内容は2025年3月19日時点での情報です。