部屋干しにベストな家電を7パターンで大検証!

 

洗濯物を部屋干しするなら、どんな家電を使うといいのでしょうか? エアコンや除湿機、サーキュレーターを使って、もっとも効率よく洗濯物を乾かすことのできる組み合わせを検証してみました!

7通りの家電の組み合わせを検証

洗濯物はカラッと晴れた日に外に干せると気持ちいいものですが、台風やゲリラ豪雨が増えるこの時期は、部屋干しせざるを得ない日もあります。そんなとき、自然乾燥だと時間がかかる上に、湿気やニオイなどの悩みもつきものです。

そこで、洗濯物を早く乾かすのにベストな家電を見つけるべく、テレビドラマ・映画『ガリレオ』シリーズの実験監修でもおなじみのNPO法人ガリレオ工房(以下、ガリレオ工房)にご協力いただき、最適な家電の組み合わせを調べてみました。

 

今回は、家庭でもなじみ深い3つの家電、エアコン(冷房)、除湿機、サーキュレーターを使って、7通りのケースを検証ベストな組み合わせを決めます。それぞれの家電は以下のモードに設定しました。

エアコン(冷房):設定温度21℃、風量「強」設定

除湿機:洗濯物モードの「連続・強」設定

サーキュレーター:「強」&首振り設定

 

 

ポイントは水分量の変化と消費電力量

梅雨の部屋干し

 

検証はリアリティを追求するために、湿気の多い環境を準備しました。室温22℃、湿度75%程度に設定(※1)した8畳の部屋で、家電を30分間稼働させます。洗濯物は、効果の違いが表れやすいガーゼハンカチにしました。

 

その上で見るべきポイントはズバリ、30分後の濡らしたガーゼハンカチの重さ(水分量)の変化です。今回の検証では、水分量の変化が大きいほど洗濯物が乾いている(※2)と考え、ランキング化しました。

さらに、それぞれの家電を比較する上で、家電を30分間稼働させた際の消費電力量(※3)にも注目。この数値が少ないほど、省エネが期待できて電気代も抑えられると考えられます。

※1:建築物環境衛生管理基準をベースに監修者が設定。日照の影響を排除するために、カーテンを閉めて検証を実施。なお、家電からの風については、サーキュレーターはガーゼハンカチへ直接当たるよう設定し、それ以外は直接当たらない位置関係に配置。

※2:布類の湿り具合を正確に測ることは難しく、時間がかかるため監修者が設定。

※3:家電を30分間使用した際の消費電力量を実測。

 

 

いざ検証!ガーゼハンカチを効率的に乾かしたベスト3は!?


【第3位】サーキュレーター×エアコン(冷房)

梅雨の部屋干し

 

3位にランクインしたのは、ご家庭でも使用者が多いと思われるサーキュレーターとエアコン(冷房)の組み合わせです。ガーゼハンカチの水分量の変化が−43.1gに対して、消費電力量は0.065kWhいう結果に。

この組み合わせのポイントは、エアコン(冷房)で室内の温度・湿度を一定に保ちながら、サーキュレーターで空気をかき混ぜて部屋干し時にも快適さをキープできるところです。実際にほかの組み合わせと比べて、部屋の温度・湿度を心地よく保つことができました。

 

【第2位】サーキュレーター×エアコン(冷房)×除湿機

梅雨の部屋干し

 

続いて、サーキュレーターとエアコン(冷房)、除湿機をすべて使用した組み合わせが2位に水分量の変化は−66.3gでした。すべての家電を同時に使うこの組み合わせが1位かと思いきや、意外にも2位という結果に。

しかも、消費電力量は0.146kWhと非常に多く電力がかかっていました。3位と比べても約0.08kWhほど増えており、コスト面では残念な結果となりました。

【コラム】エアコン(冷房)&除湿機の同時稼働のデメリット

ガリレオ工房はこの3つの家電の組み合わせが2位だったことについて、除湿機とエアコン(冷房)、それぞれが持つ“除湿機能”が重複稼働したためだと推測します。

 

前提として、エアコン(冷房)は①室温を下げること②除湿すること、の2つに機能するとされています。その上で、今回の検証では、エアコン(冷房)の除湿機能と除湿機の除湿機能が重複稼働しました。しかし、空気中の湿度(水分)には下げられる湿度の量に限界値があります

 

極端に言うと、湿度85%など、除湿機だけでは取り切れないくらいの湿度の高さだと、エアコン(冷房)の除湿機能が発揮されてメリットとなりますが、湿度が低い環境だとそれ以上下げられないためメリットは少なく、「除湿」の重複稼働については、効果は期待できないということがわかる結果となりました。

 

エアコンの除湿機能について、詳しくはこちら

 

【第1位】サーキュレーター×除湿機

梅雨の部屋干し

 

水分量の変化が−71.5gとダントツで多く、1位を獲得したのはサーキュレーターと除湿機の組み合わせでした。ガリレオ工房はこの結果を、サーキュレーターによる送風で蒸発させた水分を除湿機が吸収することで、湿度が下がり乾きやすい環境が作れたからだと推測します。

好結果な一方で、消費電力量はやや多め。そもそも除湿機単体の消費電力量が大きいこともあり、2つの消費電力量の合計は0.102kWhでした。

とはいえ、組み合わせ次第では部屋干しの効率を上げるのに有効な家電だということがわかりました。

 

意外にもエアコン(冷房)単独が最下位。ランキングを発表!

 

改めて全体のランキングを見てみましょう。1~4位に必ずサーキュレーターが入っているという面白い結果となりました。また、保有率が高いエアコン(冷房)が意外にも最下位だった理由も気になるところです。

今回の検証はあくまでひとつの参考例であり、住環境や外気、家電の使い方によって結果は大きく変わる可能性があります。しかし、7通りの組み合わせを検証することで、部屋干しに有効な2つのポイントが見えてきました。

 

ポイント①部屋干しにもっとも有効なのはサーキュレーター

上述のとおり、ランキングを見ると1~4位に必ずサーキュレーターが使用されています。ここから、洗濯物を乾かすには水分の蒸発を促進することが重要で、その役割を担うサーキュレーターが大きく結果を変えたと言えます

さらに、サーキュレーター単体よりも、除湿器やエアコン(冷房)を使用すると乾かす効率が上がることもわかりました。ガリレオ工房はこの理由を、洗濯物から蒸発した水分(水蒸気)を除湿機やエアコンで捕まえることで、室内の湿度上昇を防ぐ効果があったからだと推測します。

 

ポイント②エアコン(冷房)は設定温度が重要

また今回の検証で、エアコン(冷房)は室温より大幅に設定温度を下げて使用するほうが、部屋干しには効果的だということがわかりました。

なぜなら、エアコン(冷房)は設定温度に到達すると運転が止まってしまうからです。今回の実験では、室温22℃に対して冷房の設定温度を21℃に設定していました。そのため温度差が1℃しかなく、エアコン(冷房)はすぐに設定温度に到達し、運転が止まってしまっていました。

ただし、実際に部屋でエアコン(冷房)を使用する場合、前提として、人が不快になったり、寒すぎたりする室温では本末転倒ですし、省エネルギーにも反してしまいます。空間の快適さをキープした上で、無理をせず使用することをおすすめします。

 

部屋の広さをふまえて、最適な方法を選ぼう!

梅雨の部屋干し

 

ここまで7通りの実験をしましたが、部屋干しをする部屋の広さによっても家電の選び方は変わってきます。その上でおすすめなのは、サーキュレーターとエアコン(冷房)の組み合わせです。

たとえば、狭い部屋に洗濯物を干す場合は、サーキュレーターの風を直接洗濯物にあてましょう。さらに、狭い部屋は湿気が上がりやすいため、エアコン(冷房)を室温より1℃下げて併用するだけでも、部屋の快適さがアップするはずです。

一方、リビングなどの広い部屋に衣類を干す場合は、衣類全体に家電の風を直接あてることができなかったり、部屋の配線の位置によって衣類に風が行き届かなかったりすることもあり得ます。その場合も同様で、サーキュレーターとエアコンを併用すれば、部屋全体に冷気を循環させることができ、部屋にいる人の快適さをキープしながら洗濯物を乾かすことができるでしょう。

梅雨の部屋干し

画像:iStock.com/Madhourse

 

部屋干しのお悩みを解決してくれるのはもちろん、日常使いしやすい家電がわかれば、より快適な暮らしを送ることができそうです。ぜひご自宅でもお役立てください!

 

この記事の実験監修
ガリレオ工房

教師を中心にジャーナリスト、研究者、学生などで構成する科学実験の研究・開発グループ。そのユニークで独創的なアイデアや方法は、各界で高い評価を受けている。雑誌・新聞などでの発表のほか、テレビの科学番組にも企画協力している。また、全国各地での実験教室やサイエンスショーも手がけている。

この記事の内容は2023年6月29日時点での情報です。