台風やいわゆる「ゲリラ豪雨」のような自然災害が心配な夏の天気。じつは毎日のように眺める雲の状態から、天気の変化をある程度予想できる場合があると言います。夏の天気予報で役立つ天気と雲の関係をお伝えします。
夏の急激な天気の変化は「雲の形」で判断できる
いわゆる「ゲリラ豪雨」のような急激な天気の変化は、空に浮かぶ雲の形から事前に察知することができます。
実際に写真を見ながら、天気の急変を知らせる雲をチェックしていきましょう! 天気予報のマークには現れない天気の急変でびしょ濡れになることも防げるはずです。
これから天気急変の可能性あり!雲の上に現れる頭巾雲
雲の頂上部に薄いベールのような、雲が頭巾を被った不思議な雲を見たことはありませんか? これは見た目のとおり、「頭巾雲」と呼ばれる雲。
この雲がかかっていると、強い上昇気流を伴って雲が急成長している証拠です。これから積乱雲に発達する可能性があり、天気急変の可能性をいち早く教えてくれます。
積乱雲は大雨や雷、雹(ひょう)が降る予兆
頭巾雲がかかった雲が発達すると、「積乱雲」になります。積乱雲は大気の状態が不安定な場合に発達し、いわゆる「ゲリラ豪雨」などを引き起こします。
積乱雲は、積雲(わた雲)が発達したもので、大粒の雨や雷、雹をもたらします。積乱雲ひとつであれば30分〜1時間程度で寿命を迎えますが、積乱雲が連なると、災害をもたらすような線状降水帯が発生する場合もあります。
かなとこ雲は危険な天気のサイン!
積乱雲に伴って現れる雲はいくつかあり、そのひとつが「かなとこ雲」です。
大きく発達した積乱雲がこれ以上発達できない限界の高さ(約15キロ)に達すると、行き場をなくして横に広がります。
かなとこ雲を伴う積乱雲は最盛期にあたるため、大雨だけではなく急激な気温低下や、雷や雹、突風が発生する可能性が高くなります。かなとこ雲が見えたら、自分がいる地域でも局地的な大雨となる恐れがあるため、急激な天気の変化に十分注意しましょう。
積乱雲の接近を知らせる乳房雲
晴れていたのに急に暗くなってきたときに空を見ると、雲の底が凸凹した形状になっていることはありませんか? これは、先ほど紹介したかなとこ雲の後に見られることが多い「乳房雲」です。
乳房雲は、積乱雲の進行方向に発生することが多く、雲の底にたくさんの暗いこぶが垂れ下がるような見た目をしています。乳房雲が上空にあると、雷雨や突風をもたらす積乱雲が接近している可能性があります。雨雲レーダーで積乱雲の位置や動きを確認するようにしましょう。
アーチ雲が見えたら急いで避難を!
特に危険な天気の兆候として知られるのが、積乱雲から流れ出た冷気の先端部分で発生する「アーチ雲(アーククラウド)」です。この雲が通過する際には、突風が発生します。アーチ雲を見たら、すぐに丈夫な建物の中に避難してください。
ほかにもある。天気の変化を知らせる身近な雲
積乱雲は、天気の急変をもたらしますが、半日〜1日後の天気を予想できる雲もあります。それぞれの意味を知っていると、今よりもっと天気とうまく付き合えるようになるでしょう。
ひつじ雲の大きさで天気の変化がわかる
塊状の雲が集まった形状をしている「ひつじ雲(高積雲)」は、「中層」と呼ばれる、上空2~7キロの間に発生する雲です。
前線や低気圧が近づいて「天気が下り坂に向かっている」と、高い空から空気が湿ってきて、ひつじ雲が現れることがあります。これらの雲のすき間がなくなり低い空も雲に覆われてくると、やがて雨が降り出します。
飛行機雲が空に残る時間の長さでも天気の変化が予想できる⁉
自然現象ではありませんが、じつは、飛行機雲が空に残る時間の長さからも天気の変化を予想できます。飛行機雲は、排気ガスが上空の冷たい空気で急激に冷やされることなどで発生します。
上空の空気が湿っているほど飛行機雲は長く残るため、天気が下り坂に向かうサインの一つとなっているのです。逆に、飛行機雲がすぐに消える場合は、空気が乾燥していて晴れが続くサインとも考えられます。
薄雲越しに光の輪(ハロ)が見えたら天気は下り坂
太陽の周囲に現れる光の輪は「ハロ(日暈)」と呼ばれています。低気圧や前線の接近により発生する薄雲が太陽にかかった場合に発生することが多く、ハロが見えてから雲が厚くなっていくと、天気が下り坂に向かうサインです。
夏空を眺める習慣は、もしもの備えにも役立つ!
雲の特徴を覚えておくと、夏の天気なら夕立やいわゆる「ゲリラ豪雨」の兆候を知る際に役立つでしょう。
ただし、空模様や雲の形を決める条件は複雑なので、上空の様子だけで天気の変化を判断するのは危険です。万全に備えるためには、天気予報や雨雲レーダーを活用することをおすすめします。
この記事の内容は2023年8月18日時点での情報です。