手足の冷え対策に!「血管のばし」で寒さに強い体作り


寒さとともに手足の冷えが気になり始める季節。厚手の靴下やカイロなどを使っても冷えを感じる人は「血管のばし」を試してみては? 簡単なストレッチで、末端に血が巡り、冷えを改善する効果が期待できます。

血管のばしにはメリットがたくさん

体の冷えが起こる原因のひとつに考えられるのが、寒さで血管が収縮し血流が悪くなること。そこでおすすめしたいのが、今回ご紹介する、血流を改善する新しい健康法「血管のばし」です。

これは立命館大学の家光素行教授が考案した簡単なストレッチで、血管を伸ばし血流を改善させると、動脈硬化などのリスクを抑えられる点が注目されています。

さらに、血管のばしは「手足の冷え」を改善する効果も期待できると言います。

家光さん「今回のストレッチはもともと、血流を促して血管を柔らかくし、心疾患や脳血管疾患を予防するための健康法ですが、血流が改善されれば末端まで血が行き渡るので、手足の冷え改善にも効果が期待できるのです。実際、ストレッチをした人の足の指先をサーモグラフィで測ったところ、表面温度が上昇した例が確認されています(※)

生姜を食べたり分厚い靴下を履いたりなど、体の内側と外側から行う冷え対策はさまざまあります。これらに血管のばしをプラスすれば、より効果的な冷え対策につながります。血管のばしを取り入れて、冬場をあたたかく乗り切りましょう。


※『NHKガッテン!「血液のチカラ」で若返る。「血流力」アップの実践術』(主婦と生活社刊)より





 

習慣化したい!超簡単血管のばし

血管のばしの方法は、とても簡単。床や椅子に座った状態で、下半身のストレッチを行うだけです。

「下半身のストレッチだけで、手の指先まで温かくなるの?」と不思議に思うかもしれませんが、これには理由があります。

 

家光さん「1日生活していると、体内の血液は重力の影響でどんどん下半身に溜まっていきます。下半身をストレッチすると、筋肉のポンプ作用によって、溜まった血液を心臓に押し上げ、血の巡りを良くすることができ、結果的に手の指先にも血流が行き渡るのです」

また、一般的なストレッチは主に関節を伸ばすための運動ですが、血管のばしのストレッチは、文字どおり「血管を伸ばす」ことを目的としています。

家光さん「以下に紹介する5つのストレッチは、いずれも血流を促しやすい箇所の血管を伸ばすのに効果的なものばかりです。伸ばす箇所を間違えると、効果が得られにくくなるので注意してください。息を止めず、普段どおりの呼吸をしながら、痛気持ち良いぐらいになるまで伸ばすのもポイントです」

ストレッチをする際は、フローリングといった硬い場所だと痛いので、マットなどの上で行うことをおすすめしています。

 

その①足の付け根の血管のばし

 

家光さん「背筋をしっかりと伸ばし、足の付け根に十分な力が掛かるようにしましょう。お尻が横にズレてしまうと血管が伸びなくなるので、体勢が崩れないように注意してください」

 

その②太もも前と足首の血管のばし

 

家光さん「両手を体の後ろのほうに持っていくと、太もも前と足首に掛かる負荷が大きくなります。体が柔らかい人や、痛気持ち良さがあまり感じられない人は、手をなるべく後ろに持っていってみましょう」

 

その③ふくらはぎの血管のばし

 

家光さん「かかとが床から浮いてしまうと、血管が伸びません。かかとが床にぴったりと付くよう意識して、なるべく前傾になってください」



 

座りながら!お手軽血管のばし

血管のばしは、座ったままでもできます。オフィスワークの休憩時間などに、気分転換も兼ねてやってみてはどうでしょうか。ひざや足首、足先にも太い血管が通っているので、座りながらのストレッチでも十分な効果が期待できます。

 

その①ひざの血管のばし

 

家光さん「浅く腰掛けるので、キャスター付きのイスに座ってやると、イスが後ろに外れ、尻もちをついてしまう恐れがあります。キャスターなしの椅子でやるか、椅子をしっかり固定させてください」

 

その②足首・足先の血管のばし

 

家光さん「足の甲を外側ではなく、内側に曲げます。つま先立ちのように、足首からつま先までが一直線になるようなイメージで、痛気持ち良くなるところまで伸ばしてみてください」



毎日続けて冷えに強い体づくりを

以上のストレッチは、いずれも20~30秒ずつ伸ばしたままの状態で保ってください。次のストレッチに移る前に10~20秒間の休憩を入れるのも血の巡りを良くするポイントです。

家光さん血流はストレッチを行っている最中ではなく、行った後に流れやすくなります。そのため、必ず休憩時間を入れ、血流が良くなってから次のストレッチに移るのがおすすめです」

左右20~30秒ずつ、1日2回行ってみましょう。家光教授の調査研究によると、約4週間で手足の冷えが改善されたとの結果も確認しているとのことです。(※)大切なのは、継続すること。手軽にできるストレッチなので、なるべく毎日続けて、冷えに強い体づくりをしてみませんか。

 

今回お話をうかがった方
家光素行さん

立命館大学スポーツ健康科学部教授。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所客員研究員。筑波大学大学院医学研究科で博士(医学)を取得後、助手などを経て、14年より現職。「血管」の重要性に着目し、「血管のばし」を考案。著書は『体がやわらかくなると血管が強くなる』(アスコム刊)。

この記事の内容は2023年11月14日時点での情報です。