汗冷え解消が防寒のキモ。登山着に学ぶレイヤリング=重ね着のススメ

 

寒いからといってたくさん着込んで外出すると、動いているうちに汗をかき身体が冷えてしまうことも。そこで役に立つのが登山着の「レイヤリング(重ね着)」です。しくみを知って賢く冬の防寒対策をしましょう。

 

今回お話をうかがった方
中島貴大さん

スタイリスト。ファッションをはじめ、アウトドアやミリタリー、インテリアなど現行品・ヴィンテージ問わずに幅広いジャンルで雑誌や広告、Webなどを手掛ける。また、ブランドやメーカーの商品企画などにも携わっている。休日はサバイバルゲームやキャンプに勤しみ、好きな東京スポットは中学時代から30年以上通う中野ブロードウェイ。

 

冬の汗冷えはレイヤリングで解消できる!

アクリマ ウォームウール クルー ネック 15,400円(税込)、フーディニ パワーアップジャケット31,900円(税込)、ノローナ オスロゴアテックスパックライトフィールドジャケット72,600円(税込)/すべてフルマークス cs@full-marks.com

真冬には、多くの人が体を冷やさないように、なるべく厚着して外出します。しかし、厚着で歩いたり暖房が効いた電車に乗ったりしていると体温が上昇し、インナーが汗でベタついて不快になることがよくあります。その汗が冷えて体温が奪われると、風邪を引く原因にもなりかねません。

そこで役立つのが、登山などのアウトドアレジャーで活用されているレイヤリング(重ね着)の考え方です。

山を登ると汗をたくさんかきますが、一方で山の天気は変わりやすく、少し前まで暑かったのに急な雨で寒くなることもめずらしくありません。汗で体が冷えると低体温症などを発症するリスクがあるため、登山ではウェア内部を常にドライで快適に保つことができるレイヤリングを取り入れています。

つまり、レイヤリングの考え方を街着に応用すれば、屋外、電車の中、オフィスなど、温度の変化が激しい冬の日常生活を、汗冷えを防ぎながら快適に過ごすことができるのです。

 

レイヤリングは、機能の異なる3層で防寒する

ひと口に重ね着といっても、レイヤリングと一般的な重ね着とでは考え方が違います。レイヤリングは「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー」「アウターレイヤー」の3層によって構成され、各レイヤーにそれぞれ求められる機能と役割があります。

重ね着する際に暖かさを重視する人が多いですが、実は防寒で一番重要なのは汗をかいたときに濡れたままにしないこと。肌の上に直接着るベースレイヤーはかいた汗を吸い上げ拡散し、肌をドライな状態に保つ役割があります。

ベースレイヤーから拡散された汗をさらに発散しつつ、保温もしてくれるのがミドルレイヤーです。しかし、ミドルレイヤーには汗の水分が内部にこもらないよう適度な通気性が求められるため風を通しやすいという特徴があります。そこで、外側にアウターレイヤーを重ね、外気による体温低下を防ぐというわけです。

レイヤリングのしくみを知ったところで、それぞれのアイテムをどのように選べばいいかを見ていきましょう。

 

【ベースレイヤー】機能や好みの着心地に合わせて選ぶ

体温を奪う原因のひとつである、汗による濡れを素早く解消するベースレイヤーは、レイヤリングでもっとも重要なアイテムです。

ベースレイヤーの素材には大きく分けて「化繊」「メリノウール」「ハイブリッド」の3種類があり、それぞれ特徴が少しずつ異なリます。肌に直接触れるものなので、特徴を理解したうえで、好みの着心地に合わせて選ぶといいでしょう。

 

(左から順に)モンベル ジオライン L.W.ラウンドネックシャツ3,740円(税込)/モンベル・カスタマー・サービス TEL: 06-6536-5740、アクリマ ウォームウール クルー ネック 15,400円(税込)/フルマークス cs@full-marks.com、ホグロフス ナチュラルブレンドテッククルーネック 17,050円(税込)/アール・シイーテイー・ジャパン TEL:03-6303-1039

【化繊】
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は吸水速乾性に優れているので、汗の不快感をよりすばやく軽減することができ、ドライな肌触りをキープしてくれます。ただし、化繊には汗をかくと不快な臭いが発生しやすいデメリットも。

 

【メリノウール】
肌触りが化繊よりも柔らかく、着続けることで風合いが増す特性があります。また、消臭効果がある(※)ので、化繊のように汗をかいたときに不快な臭いが発生しづらいのもメリットです。

 

【ハイブリッド】
ハイブリッドは化繊とメリノウールのいいとこ取りをした素材です。また、ボディはメリノウールで腕は化繊というように、体の部位で素材を分けたハイブリッドもあれば、メリノウールを使っていないにもかかわらず防臭性の高い化繊のハイブリッドもあります。

 

※:臭いのもととなるアンモニア系のアルカリ臭や酢酸臭を吸収する性質のため。

 

【ミドルレイヤー】着用シーンや用途に合わせて選ぶ

(左から順に)フーディニ パワーアップジャケット31,900円(税込)/フルマークス cs@full-marks.com、ミレー マグマ シールド ジャケット20,900円(税込)/ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン TEL:050-3198-9161、アウトドアリサーチ ヘリウムダウンジャケット34,100円(税込)/エイアンドエフ TEL:03-3209-7575

ミドルレイヤーは、冬場はオフィスなどで動くときに着る行動着となり、春や秋はアウターの役割もはたしてくれるため、着ているうちに体温が上昇して汗ばんでこないよう、適度な通気性が求められます。それを実現してくれるのが、「フリース」「中綿」「ソフトシェル」の3つの素材です。それぞれ次のような特徴があります。

【フリース】
ミドルレイヤーの定番素材といえるのがフリースです。保温性があり通気性が高いのが特徴です。ただし、通気性がある分、風の強い日に屋外でフリースを着ると寒く感じるかもしれません。基本的にはオフィスなどの室内向きのミドルレイヤーといえるでしょう。

 

【ソフトシェル】
ソフトシェルは防風性と保温性、通気性を備えた素材です。ストレッチ性にも優れているうえ、軽いため行動着に向いています。適度に撥水性を備えているので、アウターとして小雨を弾いてくれます。

 

【中綿】
中綿は大きく分けて、ダウンと化繊の2つになります。ダウンは文字通り、羽毛を使ったもので、化繊はポリエステルなど人工的につくった綿のことです。一般的に保温性はダウンのほうが上ですが、ダウンは水分に弱いので化繊が重宝されることもあります。外出時のアウターとしても活用できます。

 

 

【アウターレイヤー】コーディネートを考えて選ぶ

(左から順に)ノローナ オスロゴアテックスパックライトフィールドジャケット72,600円(税込)/フルマークス cs@full-marks.com、マウンテンハードウェア ウェザーダウンパーカー 51,700円(税込)/コロンビアスポーツウェアジャパン TEL:0120-193-803

防寒目的でアウターレイヤーを選ぶなら、雨や風による体温低下を防いでくれるハードシェルがおすすめです。中でも右の写真のように、中綿を搭載し保温性も確保したモデルは、寒がりな方や気温の低い場所に行く際などの選択肢のひとつになるでしょう。レイヤリングのなかで一番外側に着るレイヤーなので、インナーに着るアイテムとのコーディネートを考えて選ぶのがいいでしょう。2つのポイントを解説します。

 

ポイント①デザインとサイズに注目する

ハードシェルを街使いする場合は、ミリタリーウェアのデザインを基調としたデザインなど、いかにもアウトドア然とした見た目ではないものを選ぶのがおすすめです。ポケットなどのギア的な機能美が着こなしにアクセントを効かせてくれます。

また、サイズ選びに迷ったら大きいほうを選ぶのがいいでしょう。アウターレイヤーのサイズが小さいと、そもそも重ね着ができないので注意が必要です。

 

ポイント②素材を組み合わせる

もうひとつ気をつけたいのが、ミドルレイヤーとの素材の組み合わせです。ナイロンにナイロンを重ねるより、色は同じでもアウターがナイロンならミドルレイヤーはウールやフリースといった起毛素材を選ぶなど、異素材同士を組み合わせたほうが、着こなしにメリハリが生まれます。



賢い着方を学べばどんな気候でも快適に過ごせる!

レイヤリングの考え方を知っておけば、冬だけでなく夏やほかの季節も快適に過ごすことができるでしょう。まずはレイヤリングのキモとなるベースレイヤーの素材選びから始めてみてください!

この記事の内容は2024年1月18日時点での情報です。