その差は1年で8万円以上!? 「節約弁当」のコツを紹介

物価の上昇が著しい近頃、少しでも家計の負担を減らすためにランチをお弁当に変えてみませんか? 食費を節約しながら、不足しがちな栄養をとれるのもお弁当のメリット。新生活を機に、誰でも簡単に始められる節約弁当作りのポイントをご紹介します。

今回お話をうかがった方
野上優佳子さん

お弁当歴35年以上、400個以上のお弁当箱を使用した経験に基づき、料理家・弁当コンサルタントとして活動中。『楽しく作って毎日おいしいこどものおべんとう』(成美堂出版刊)をはじめ著書20冊、各メディアや国内外での講演など出演も多数。弁当箱の商品開発なども行っている。

お弁当による節約効果は年間8万円以上!

ところで実際にランチを外食からお弁当に変えると、どのくらいの節約効果があるのでしょうか?昼食にあてる外食代の平均値から計算してみました。

外食/お弁当費用比較

 

ある調査(※1)によると、男性会社員の1日の昼食代の平均は624円、女性会社員の場合は696円。このデータをもとに計算すると男女の平均額は660円。1か月で1万3,200円となり、これを年間で考えると15万8,400円になります。一方で、2022年のアンケート調査(※2)を参考に、お弁当1食あたりにかける費用を300円だとすれば、年間で考えると7万2,000円という結果になります。つまり、昼食を外食からお弁当に切り替えることにより、年間で8万円以上の節約が可能になるわけです。

※1:株式会社SBI新生銀行「2023年会社員のお小遣い調査」より
※2:JA全農「現代人のお弁当事情に関するアンケート」(2022年)

 

明日から実践可能!お弁当の食費節約3ステップ

それでは早速、節約弁当のコツをご紹介しましょう。

 

ステップ①週に1回買い物しない日を作ってみよう

まずは、お弁当の材料となる食材にかかる費用を節約するポイントから。野上さんによれば、食材の買い出し頻度を減らすことが節約の第一歩とのこと。特に、毎日のようにコンビニやスーパーに立ち寄る習慣がある人は、週に1回「買い物をしない日」を作ることが重要だと言います。

1週間のスケジュール

 

野上さん毎日少しずつ買い物をする習慣がある人は、無意識のうちに使途不明金が増えてしまいがち。それが家計の負担にも繋がります。まずは、週に1日でいいので『買い物をしない日』を作ってみましょう。徐々に頻度を減らしていけば、計画的に買い物ができるようになるはずです。

また、特売品だからといってまとめ買いをしても、無駄にしてしまう場合がよくあるものです。そこでおすすめしたいのが、適度なまとめ買いです。たとえば食材の買い出しは週2回に決めて、1回に3~4日分の食材を買うようにすれば、無駄なく食材を調達できます。また節約の観点からみれば、食材を大雑把に捉えることも大切。予定のレシピでは牛肉だったけれど、今回は安売りされている豚肉でアレンジしてみようかな、といった柔軟な発想も節約に役立つでしょう。空腹時は、すぐに食べられるものや目先のものに飛びつきがちになるので、お腹が空いていないときにお買い物する、というのも衝動買い予防に実は効果的です

 

ステップ②最初は“家弁”から始めてみよう

続いてのポイントは、今までお弁当を作ったことがない人にピッタリな“家弁”から始めてみることです。

野上さん「ここでの“家弁”とは、家の食事をお弁当に流用することです。あらためてお弁当を作るとなれば面倒な気がしますが、たとえば多めに作った夕食を弁当箱に詰めて冷蔵または冷凍するだけなら、ハードルが低く感じられるはず。まずは週2回程度の“家弁”から始めてみましょう。家での食事と同じメニューなら食材も共通なので、節約効果も高くなりますよ」

 

ステップ③市販品を賢く使う「ハイブリッド弁当」に挑戦

ハイブリッド弁当イラスト

 

“家弁”でお弁当作りの感覚に慣れてきたら、いよいよ毎朝のお弁当作りにチャレンジしてみましょう。とはいえ、慌ただしい朝にすべて手作りのお弁当を作るのは大変。そこで野上さんがおすすめするのが、手作りと市販品を上手にミックスした「ハイブリッド弁当」です。

野上さん「極端な話、自分で作るのは炊いたご飯だけで、おかずはすべて市販品に頼ったとしても外食に比べれば食費が節約できます。そこに昨晩の残りのおかずや作り置きのおかずを加えれば、立派な節約弁当の完成です。ちなみに、タンブラーを持ち歩く習慣がある人は、お弁当が続きやすい人。まずは家から何かを持っていくことを習慣づけて、節約への第一歩を踏み出しましょう」

 

面倒臭いをなくす!お弁当生活が続く方法

実は野上さん自身、かなりの面倒臭がり屋とのこと。そんな野上さんが35年以上お弁当作りを続けられている、ラクしてお弁当を作る秘訣を聞きました。毎日作れるだろうかと不安な方も必見です!

 

自分の好き嫌いの作業を認識する

野上さんによれば、料理を習慣化させるうえでまず大切なのは、自分の好きな作業と嫌いな作業を認識すること。いかに自分の嫌いな調理工程を省くかを工夫することで、料理に対する苦手意識が減ると言います。

野上さん「たとえば、食材を切る作業が嫌いだったら、カット野菜や細切れ肉などを買い、切る作業を省けばいいのです。また、揚げ物やハンバーグなどの作業工程が多い料理は手間がかかるため、苦手な人も多いので、冷凍食品や市販品に頼るのもいいでしょう」

 

冷蔵庫に入れる前に下処理をする

毎朝のお弁当作りを目指すなら、調理の効率をアップさせる工夫も長続きの秘訣。野上さんによれば、そのポイントは「下処理」にあると言います。

野上さん「私は買ってきた食材を冷蔵庫に入れる前に、必ず下処理しています。冷蔵庫に一度入れる手間も減り、料理を作る日には必要最小限の調理と時間で済むからです。とにかく、自分ができる料理の機会をなるべく逃さず、工夫することが大切です」

そこで、野上さんが実践している簡単な下処理も教えてもらいました。

野上さん「よく使うきのこ類はザクザク切って、ジップロックなどに入れて冷凍しています。きのこ類は冷凍することでうまみが増すと言われています」

調理の順番イラスト

 

ほかにも、野菜を茹でる際はアクの少ない順番に茹でて、茹汁を使い回しすればその都度お湯を沸かさずに済みます。たとえば、カリフラワー→ブロッコリー→ほうれん草の順に茹でると、効率がよく下処理ができます。

お肉の作り置きには、鶏むね肉が安価でおすすめ。買ってきてすぐに茹でて、食べやすい大きさに切って保存しておくと、すぐに調理に使えてとても便利です。火を通すところまでが面倒なら、食べやすい大きさに切って下味だけつけておくだけでもOK。

鶏胸肉の下味図版

 

野上さん「重量の1%の塩と、塩の半分の砂糖を加えておくだけで、余分な味付けなしで、そのまま焼いても、レンジで蒸しても美味しく食べられます。冷蔵庫で3日程度持つので、疲れている時でも、時短でラクに自炊ができますよ」

 

お弁当の「フォーマット」を決める

お弁当作りに慣れていないと、おかずやご飯をどうやってお弁当箱に詰めていいのか迷ったり、どれくらいおかずが必要なのか悩んだりするかもしれません。そこで、野上さんがおすすめするのが、お弁当の「フォーマット」を決めておくことです。

お弁当のフォーマット図版

 

野上さん「私の場合、主食:主菜(メインのおかず):副菜(野菜)=2:1:1のようにお弁当の中身の割合を決めています。そして、大きい食材から詰めていくとキレイに詰められます」

彩りが気になる場合は、赤黄緑色の食材が入っているのかを意識するだけで、見た目もキレイで栄養バランスもよくなるとのこと。まずは、白ごはんの上にふりかけをかけるだけでもOKです。一番大事なのは、自分が食べたいものを入れて、美味しそうと思えるお弁当を作ることです。

 

自分に合った弁当箱を選ぶ

お弁当作りを長続きさせるためには、弁当箱の選び方も重要とのこと。最近では色々なタイプのお弁当箱が売られています。それぞれの特徴に合わせて自分にあったサイズや種類を選びましょう。

お弁当のタイプ別特徴図版

 

野上さん「上記のタイプ以外でも、最近は麺専用のヌードルコンテナーや、おかず入れが内蔵されている丼ぶり型など、変わったタイプのお弁当箱も。もちろんタッパーでもいいのですが、自分の好みの弁当箱を楽しみながら選んでみると、毎日のお弁当作りに繋がりますよ」

 

節約・時短で頑張りすぎないお弁当作りを

節約のためのお弁当作りでは、簡単に始められて、いかにラクをして継続していくのかが大切です。その中で、自分の好きなおかずをお弁当に詰めたり、好きなお弁当箱に変えたりすることで楽しくお弁当タイムを過ごせます。コツコツお弁当作りに取り組んでいき、上手に節約をしましょう!

この記事の内容は2024年3月14日時点での情報です。