大型連休中に喧嘩をする夫婦は約半数! 程よい距離の保ち方

一緒に過ごす時間が長くなる大型連休。独自アンケートの結果、連休中にパートナーと喧嘩をした経験のある夫婦は、なんと約半数に上りました。その原因を紐解き、喧嘩を防ぐ上手なコミュニケーションの取り方を紹介します。

今回お話をうかがった方
大野萌子さん

一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事。企業・夫婦などの人間関係の改善スキルを得意とし、著書にシリーズ51万部超『言いかえ図鑑®』(サンマーク出版刊)や『お父さんのための言いかえ図鑑®』(笠間書院刊・4/30 発売予定)など。

約半数の夫婦が大型連休中に喧嘩の経験アリ!

今回は、25〜65歳の既婚男女300人を対象にアンケート調査を実施(※)その結果、大型連休中に喧嘩をしたことが「ある」と回答した方が48.67%、「ない」が51.33%という残念な事実が判明しました

※調査方法/アンケートツール「Freeasy」を利用したWebアンケート方式で実施

連休中の夫婦喧嘩率アンケート

 

一緒に過ごす時間が増えるのは良いことではありますが、その一方で普段は気にならないことがスルーできなくなったり、相手の嫌なところを目の当たりにしたりして喧嘩になってしまうことがあるようです。

職場などの人間関係改善に役立つコミュニケーション上のアドバイスをする公認心理師の大野萌子さんによれば、大型連休後は企業の外部相談窓口に寄せられる夫婦関係悪化の相談が一気に増える傾向があると言います。詳しくお話を伺いました。

 

夫または妻による些細な一言が喧嘩の引き金に

連休中の夫婦喧嘩原因

 

夫婦喧嘩の原因は、相手の言動によるものが半分以上を占め、もっとも多くなりました。性別で見ると男性は言動、女性はお金の使い方と回答した方が多くなっています。

大野さん「これは妻の方が弁の立つ人が多いこと、夫の収入の方が高い家庭が多いことなどが関係していると考えられます」

 

普段のコミュニケーション不足が連休中のトラブルに!?

ここからは、回答者の方々から寄せられた具体的な喧嘩の原因やエピソードをご紹介。アンケート結果から読み取れる傾向を大野さんに聞きました。

夫または妻の言動による喧嘩の原因やそのときパートナーに感じた不満

・注意しても、余計な一言を毎日言うから。(48歳女性)
・余計な一言が多くて喧嘩になります。 また余計な一言が多いと分かってるから、何気ない普通の言葉もその様に感じてイライラしてしまいます(41歳男性)
・ちょっとした棘のある言い方(50代女性)
・揚げ足をとる(53歳男性)
・間違いを指摘した場合に言い訳から始まる(28歳男性)
・何度も同じことをしつこく言ってくる(64歳男性)

 

喧嘩の原因で一番多かった『言動によるもの』は、言い方や言葉の捉え方が関係しています。

大野さん「『余計な一言が多い』などとありますが、発言した側は『パートナーだからこのぐらい言っても大丈夫』という甘えがあるのかもしれません」

 

お金の価値観や趣味などですれ違いが発生

お金の使い方で喧嘩になった理由

・自分の小遣いの使い方に文句を言われた(41歳男性)
・競馬など無駄遣い(57歳女性)
・趣味にお金をかけすぎ(52歳女性)
・普段は節約しているのに、自分の高いアクセサリーを買う(55歳男性)
・夫は貯金ができず、あったらその分使ってしまうのでイライラする(30歳女性)

 

大野さん「『小遣いの使い方に文句を言われた』とありますが、人にお金の使い方を否定されると強いストレスを感じるもの。他人からすれば『そんなことに使って』と感じることでも、使った本人にとっては“生きる糧”のようなものかもしれません。さらに、『私はこんなに我慢しているのに、相手は好きなもの買って…』という溜まった不満が怒りに現れているとも見受けられます」

 

性別役割分担意識の影響も

家事・育児に関することで喧嘩した理由

・休みで家にいても手伝いをしない(51歳女性)
・家事育児は妻がやるものと思っているようで、特に育児は丸投げ状態である(61歳女性)
・分担したものができていないことによる怒り(34歳男性)
・休みだからあれもこれもやれ、という押しつけ(64歳男性)
・料理してくれたら後片付けをしない、他出したら出しっぱなし(60代女性)

 

大野さん『手伝いをしない』『丸投げ状態』という女性の意見を見ると、『家事は妻がやるもの』という男性側の性別役割分担意識がまだ強いように感じます。また、協力をする場合でも『してあげる』という感覚の人が多く、その意識は言葉に出てしまいがち。たとえば『お皿を洗っておいてあげるよ』という一言は、皿洗いがパートナーの仕事だと思っていると捉えられますし、上から目線にも感じられ、喧嘩の発端にもなりやすいでしょう」

 

家にいたいパートナーを連れ出すことで喧嘩に

大型連休の過ごし方で喧嘩した理由

・家で、ゆっくりしたいときもあるのに出かけたがる(54歳女性)
・ゆっくりしたいのに混んでるところに出かけさせられた(29歳男性)
・妻は外出したがるけど私は家でゆっくりしたい派なので、どうしても揉めやすいです(41歳男性)
・どちらの実家で過ごすか(20代男性)

 

大野さん『出かけさせられた』という回答からもわかるように、相手に無理やり付き合わされることで不満が生じているのでしょう。家族だから一緒にいる時間は大事ですが、行きたくない場所に行くのは自分が辛くなるだけですし、時間が奪われるとストレスを感じやすくなります。過ごし方に相違があるなら前もって話し合うことが大事です」

 

喧嘩をしないポイントは「干渉しない」こと

大型連休中に喧嘩をすることが少ない理由

・ずっと一緒にいない。 別々になれる時間を作る(52歳女性)
・お互い理解しつつ、余り干渉しあわない。(49歳男性)
・自分の意見ばかりを主張するのではなく、まず相手の意見を聞くことを心がけています(43歳女性)
・いつも相手に感謝する(60歳男性)
・言いたいことがあっても、相手がどう思うかに気をつけた言い方をする(27歳男性)

 

一方「大型連休中に喧嘩をしたことがない」と答えた方 は、適度な距離感を保ち、普段から夫婦で良いコミュニケーションが取れていることが伺えるといいます。

大野さん「自分のテリトリーを侵害されるとストレスを感じるので、別々になれる時間があるのは理想的です。いつも感謝するという心遣いも素晴らしいですね。『夫婦だから当然』と思わず、些細なことでも『ありがとう』と伝えることは案外できていない夫婦も多いのではないでしょうか。照れ臭さもあると思うので、『助かったよ』など、相手を労う一言に変換するのもOKです」

 

喧嘩を事前に防ぐ!上手なコミュニケーション

大型連休中に夫婦喧嘩をしたことがある方とない方の差は日頃のコミュニケーションにある、と大野さん。普段の会話を改善できれば、喧嘩も少なくなるかもしれません。

 

言いたいことは明確にする

夫婦が会話するイラスト

 

大野さん「日本には察する文化があり『言わなくてもわかってほしい』という思いもあります。しかし『言わなくても察しろ』は暴力と同じ。言いたいことがある際は、きちんと相手に伝わる言葉で言いましょう。

たとえば、育児にいっぱいいっぱいになっているなら『これやってよ』ではなく、『オムツの替えを持ってきて欲しい』などと、お願いしたい内容を具体的に言うことが重要です。
反対にパートナーから意見を言われたときは、1ターン目は『そうだね』と受け止めることも大切。反論や批判、深読みは不要です。

相手の言葉を打ち返すのではなく、相手の言葉を一度キャッチできれば、軋轢が生まれづらい関係でいられます。ごく普通のようなことですが、夫婦生活が長くなるにつれて意外とこの意識は薄くなっているものです」

 

「夫婦は一緒にいるべき」という考えを変える

別々の部屋にいる夫婦のイラスト

 

また、大野さんによれば「大型連休は家族で一緒にいるべき」という固定概念をなくすことも大切とのこと。一緒に行きたいところがあれば行けばいいし、意見が違ったら別々に過ごすことが望ましいといいます。

大野さん最近では『それぞれ自分の実家に帰省する。相手の実家には行かない』という夫婦もいます。リビングに一緒にいるときにだって、観たい映画が違えばスマホでお互い別々のものを観ても問題ないでしょう。一緒の時間、別々の時間のどちらも大事にすること、相手に気を使いすぎない土壌を作ることが理想的です。
お互いを干渉し過ぎないために、たとえば『何時から何時までは別々のことをする』など夫婦間でルールを決め、それに口出ししないことから始めてみましょう」

 

価値観が異なるのは当然。自分の考えを押し付けない

夫婦のイラスト

 

夫婦で価値観が似ることもありますが、夫婦とはいえ他人ですので、価値観が違っても当たり前です。特に価値観の違いが大きいのはお金に関係する考えだといいます。

大野さん「たとえば、家族のために必要な買い物をしたいけれど、相手は必要ないと思っている可能性があるなら『このために必要だから買いたい』と事前にプレゼンをするのが効果的です。一方で趣味への投資は話し合っても相手の理解を得ることは難しい場合が多いので『毎月いくらまで』というように、自由に使えるお金を決めるのが良いでしょう」

また、自分の考えを押し付けすぎるのもNG。大野さんによると、たとえば相手のためにサプライズを計画することは、「これをすれば喜んでもらえる」「家族のために頑張った」という自分の考えの押し付けになってしまうそう。その結果、「せっかくプレゼントしたのに期待通りに喜ばない」などという不満が喧嘩に直結してしまうこともあります。

 

家事や育児は一緒にやってみる

一緒に家事を行う夫婦のイラスト

 

普段、やっていない家事や育児は大型連休を機に一緒にやってみるのもいいでしょう。簡単なことでも、やったことがないと難しいものです。大変さを知れば、言葉や態度も変わるかもしれません。

大野さん手伝ってもらった際は感謝の気持ちを忘れず、もし自分の仕事が増えても怒るのではなく『ありがとう。次はこうしてもらえるともっと嬉しいな』と寛容になって伝えることを意識してみてください」

 

違いを理解し、いい関係を築いていく

普段から夫婦で話し合い、お互いを理解して干渉し合わないことが喧嘩の予防につながります。顔を合わせる時間が長くなるとつい喧嘩をしやすくなる人は、不満を溜め込まず、こまめに伝えることを意識してみてはいかがでしょうか?

この記事の内容は2024年4月18日時点での情報です。