親子で過ごす時間が増える大型連休、子どもと一緒に料理に挑戦してみませんか?実は、料理は子どもの自立や主体性などを育む絶好の機会。ピザ作りを通して、楽しみながら子どもの成長を後押しするポイントを伺いました。
日常でも取り入れられる!子どもの心・体・頭を育む「モンテッソーリ教育」
「モンテッソーリ教育」という言葉は、小さなお子さんのいる家庭なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。「子どもの自己教育力」に注目し、環境を整えることで成長をサポートする教育方法のことで、特に、0~6歳の乳幼児期の過ごし方が大切だとされています。
独自のおもちゃを使ったりモンテッソーリ教育を導入している幼稚園や保育園に通ったりするなど、専門の教育機関で学ぶケースがほとんどです。しかし、いしづかさんによると、日常生活にモンテッソーリ教育を取り入れる「おうちモンテッソーリ」こそ大切だと言います。中でも、毎日の食事は子どもの自立に加え、積極性や協調性が自然と身につく絶好の機会になるのだとか。
いしづかさん「たとえば、この料理にどんな野菜が使われているのかを知ることで食への関心が湧くこともあります。また、どんなお皿で何を使って食べるのかを子ども自身に選んでもらうことで、食べることが楽しくなるといったポジティブな影響も。大人にとって当たり前のことから、子どもはいろいろなことを感じ取るのです」
ピザ作りで楽しく学ぶ
普段より時間のある大型連休だからこそおすすめなのが、「ピザ作り」。手や指先をしっかり使うことで五感を刺激したり、トッピングを選択することで自己決定力を育んだり、一つひとつの工程で子どものさまざまな成長をサポートしていきましょう。ピザ作りの流れに沿ってモンテッソーリ教育のアプローチポイントをご紹介します。
①生地作り:観察力・調整力を育む
生地作りのポイントは、小麦粉の質感が変わっていく感覚を両手で感じること。手で触りながら、生地のダマになっている部分を探していくことで観察力も育めます。生地がまとまらず粉っぽいな…と思ったら水を足していくことで、ちょうどいい加減を調整する力も身につきます。
いしづかさん「1〜3歳では、計量済みの材料を大きなボウルに移し替える作業を、4〜5歳では、材料の計量からチャレンジするなど、年齢別にできることが異なっていきます。ほかにも『カリカリとフカフカ、どっちのピザがいい?』と食感の表現を教えたり、『そのためには、どうすればいいかな?』と質問したりすると、考える力も磨かれますよ」
②具材の準備:発語・会話力を育む
包丁を使って具材を切れる子もいれば、まだ道具を上手に持てない子もいるでしょう。後者の場合は、たとえば、チーズが入っている袋を容器に移すだけでもOK。「これはチーズ、緑色のお野菜はピーマンだよ」というように食材の名称を伝えながら触れていくことで、発語のサポートにもつながります。
いしづかさん「1歳ごろからでも食材を切ることができます。バナナやウインナーなどは、比較的柔らかいので、フォークやバターナイフで簡単に切れますよ」
③生地を伸ばす:手首を鍛える・数学的感覚を育む
まだ調理器具などが上手く持てない場合は、生地を伸ばす作業を楽しんでもらいましょう。生地を伸ばすときに、腕と手首をしっかりと動かすことで、手先も器用に使えるようになっていきます。
いしづかさん「生地を伸ばすときには、円形のメモリがついている粘土マットが便利です。的があることで、どれくらいの大きさにすればいいのかを視覚的に理解しやすくなります。また、“15cmまで伸ばそう”など数字で伝えることで、円や大きさへの学びにつながります」
④ソース塗り・トッピング:自己選択力、美的感覚を育む
生地にソースやオイルをはみ出さないように塗っていくことがポイント。このときに、目で見ながら手を一緒に動かす練習をすることで、体を思い通りに動かすコントロール力が身につきます。
いしづかさん「トッピングは個性が光る部分。絵を描く感覚で具材を載せることで、美的感覚が養えます。何の具材がどのくらい必要なのかを自分で選ぶことで自己選択力も育まれますよ」
⑤焼く:道具を使う力を育む
オーブンで使うボタンには、番号の書いたシールなどを貼ってわかりやすくしておくといいでしょう。料理によく使うアイテムを自分で使えるようになることは自立につながります。
いしづかさん「5~6歳ごろからは数への興味が出てくるので、ボタンを1回押すと1分など、数字の感覚も体感的に身につけていきましょう」
完成したピザをみんなで食べる瞬間は笑顔が溢れる幸せな時間です。家族に「おいしい!」「作ってくれてありがとう!」と言ってもらうことで、作り手の気持ちがわかるようになることもあるでしょう。
親が気をつけたいポイント
料理をする上で、モンテッソーリ教育的にふさわしくない行動をまとめました。ついついやってしまいそうですが、大人の意識も変えましょう。
放任はNG。我慢する力を育てる
調理工程で、どんなに材料がぐちゃぐちゃになっても子どもが楽しんでいたらそれでいいと思うのは大きな間違い。自由と放任は違います。料理に対する約束ごとは守って、ときには注意をしたり、制限をかける必要があります。約束を守れる自己抑制力も育てていくことも大切です。
子どもに「静かに見せること」が大事
道具の使い方など「やり方」を伝えるときは、どうするのが正解なのかを見せることが大切。話しながら見せると、子どもはの意識は言葉にいき、注意が逸れてしまいます。見せるときは喋らずに、動作をゆっくり行いましょう。
嫌がったら無理強いはしない
モンテッソーリ教育で重視しているのは、子どもが自ら「やってみたい、興味がある」という意欲です。また、自分でできないことは「これ手伝って」と協力をお願いできるようになること。嫌がるということはまだその成長を欲していないこととも考えられるので、今は必要ない時期だと考え、「手伝おうか?」とサポートしてみてください。
失敗も大切。そこから何を学ぶか
料理をする上で、うまくいかないときもあります。もしこぼして散らかってしまった場合などは、自分で片付けるところまでセットで教えてあげることが自立につながります。
子供も大人も楽しむことが何よりも重要!
さまざまなポイントがありましたが、まずは親子で楽しむということが一番大切です。この連休中に、ぜひ子どもと料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。
この記事の内容は2024年4月18日時点での情報です。