ダニはどこからやってくるの?

暖かくなるこの時期に注意したいのが、室内にダニが繁殖すること。アレルギー性疾患などの原因になる場合もあり、対策が必要です。ただし、ダニを撲滅するのは不可能とも。一体どうすればいいのでしょうか?ダニ博士、五箇公一さんにお話をうかがいました。

今回お話をうかがった方

五箇公一さん

保全生態学者、ダニ博士。1990年京都大学修士卒、宇部興産勤務、1996年、京都大学博士号取得し国立環境研究所入所。現在は外来生物対策プロジェクトのリーダーとして侵略的外来種の生態リスク管理を研究している。テレビ番組の解説者としても活躍するなど、メディア出演多数。

ダニはなぜ撲滅できないのか?

ダニイメージ

画像:iStock/nopparit

 

室温25℃前後、湿度50〜60%の快適な住空間は、高温多湿を好み乾燥を嫌うダニにとっても快適な環境です。対策を考えておかないと、これからの季節はダニがどんどん増えてしまうかもしれません。とはいえ、ダニはくん煙剤やダニ取りシートなどの市販の駆除グッズでは撲滅が難しいと言います

五箇さん「ダニは突然発生するのではなく、花粉みたいに大気中に漂っています。風に乗って飛んできたり、服にくっついたりして家の中に入り込んでくるんですね。ダニは昔から人間が生活する空間にずっと生息してきましたから、駆除剤で退治したように見えても、どこからともなくまた家の中に侵入し、繁殖を繰り返します」

 

家の中はダニでいっぱい!

ダニの種類

 

そもそも家の中にはどんなダニがいるのでしょうか。五箇さんによると、室内に生息する主なダニはチリダニ、コナダニ、ツメダニの3種類。チリダニとコナダニは体長0.3〜0.4mm、人間のアカやフケ、食品のカスなどをエサとしています。そして、このチリダニやコナダニを捕食するのが体長0.5〜1mmのツメダニです。

五箇さん「これらのダニの寿命は数か月から1年。その間に1日1〜2個の卵を産み、ねずみ算式に増えます。ホコリ1gに2,000匹のダニが生息しているとのデータもあるくらい。だからこそ、根絶は無理でも増やさないように対策する必要があるのです」

 

ダニを駆除するには濡れた雑巾がおすすめ

床掃除イメージ

画像:iStock/west

 

しかし、どこからともなく家の中に侵入し、どんどん増え続けるダニをどうやって駆除すればいいのでしょうか。五箇さんは「結局のところ、こまめに掃除するしかありません」と言います。

五箇さんダニが多いのはエサとなる人間のアカやフケが溜まりがちな床、ベッド、ソファ、食品のカスが落ちる食卓の下など。こういう場所は毎日、小まめに掃除してください。床や畳の掃除はロボット掃除機を活用する方法もありますが、本当は濡れた雑巾で水拭きするのが一番。ダニを雑巾で拭き取るのです」

ちなみに、天日干しで布団を乾燥させても、全てのダニが死滅することはありません。新しい布団は常に乾燥機にかけてダニを増やさないよう努めてください。面倒かもしれませんが、ダニを増やさないためには小まめな掃除・洗濯がもっとも効果的です。

 

ダニの繁殖しにくい環境づくりを

大気中に漂うダニは、人間が移動するかぎり、どれだけ家をキレイにしていても家の中に入ってきます。新築マンションにも引越しの荷物と一緒に侵入します。ダニをゼロにできないなら、それ以上増やさないように対策するしかありません。くれぐれも日々の掃除を怠らないようにしましょう!

この記事の内容は2024年5月15日時点での情報です。