大規模な地震などの自然災害があったことから、ますます関心が高まっている防災グッズ。しかし、普段からいろいろ準備していたとしても、避難の際に役立たなければ意味がありません。新生活のタイミングで、自宅の防災グッズを見直してみませんか。
※この記事では自宅を避難場所とする在宅避難ではなく、避難所などの外に避難する場合を想定しています。
災害が起きたらリュックですら持ち出すことが難しい?
防災グッズを入れておくアイテムとして、よく紹介されるのが水や食糧、生活必需品を詰め込んだ防災リュックです。しかし、防災アドバイザーの国崎さんは「大きな災害が発生したときにリュックを背負って逃げるのは現実的ではありません」といいます。
国崎さん「大規模な災害が起こるとパニック状態になります。まもなく大津波が襲ってくるようなとき、冷静に大きなリュックを背負って避難することができるでしょうか。小さな子どもや要介護者がいればおぶって逃げなければなりませんし、持てたとしてもスマートフォンと手持ちのバッグだけで避難するのが精一杯でしょう」
防災ベストなら、着るだけでさまざまな状況に対応可能
防災リュックを持ち出すことが難しいとすれば、災害時に本当に役に立つのはどんなアイテムなのでしょうか。国崎さんがおすすめするのは、貴重品や防災用品を豊富なポケットに収納し、必要なときに取り出せる防災ベスト(エマージェンシーベスト)です。
国崎さん「防災ベストなら着るだけでさまざまな状況に対応できますし、リュックと違って子どもやお年寄りをおぶって避難することも可能です。この防災ベストに加え、普段使っているバッグにも必要最低限の防災グッズを入れておくとさらに安心です」
続いて、防災ベストと普段使っているバッグに入れて用意しておくべき防災グッズを見ていきましょう。
【防災ベスト編】1日生活する分を着ながら持ち出す
防災ベストは、釣り人が着用するフィッシングベストのように多様なサイズのポケットを備えているのが特徴です。ただし、ポケットの数には限りがあり、動きやすさが重要ですから、ベストに入れておくグッズは以下の図ように必要最低限にしましょう。
国崎さん「ベストに入れておく防災グッズは、額に装着して両手を自由に使えるヘッドライト、折りたたみ式の給水袋、寒さ対策にも使えるレインコート(ポンチョ)、携帯トイレ、流せるティッシュとウェットティッシュ、止血パッドです。そのほか、替えの下着と靴下は1枚ずつ。水は利尿作用が低いゼリー飲料で代用します。大地震などの非常時には1日分を持っていくのが限度と考えてください」
なお、携帯トイレはいろいろなタイプがありますが、国崎さんが推奨するのは「サニタクリーン」。吸収凝固シートタイプなのでシンプルで使いやすく、凝固剤を振りかける必要がありません。そのため、トイレ時のストレスが軽減されます。
【普段のバッグ編】軽量&省スペースなアイテムで外出時のもしもに備える
災害が起こるのは家にいるときとは限りません。外出時に大きな災害が発生したときのことを想定し、「普段使っているバッグにこそ防災グッズを入れておくべき」と国崎さんはいいます。
国崎さん「まず黒いポリ袋です。これが1枚あれば雨風を防ぐレインコートになり、トイレになり、帰宅困難者になったときに下に敷いて座るレジャーシートがわりにもなります。100円ショップで買えますから、普段からバッグに入れておきましょう。それから、閉じ込められたときに自分の居場所を知らせる笛(緊急ホイッスル)。また、防災ベストと同様にゼリー飲料と簡易トイレ(サニタクリーン)、モバイルバッテリーも入れておくと安心です」
【コラム】スマホに入れておくべき救急補助アプリ
グッズだけでなく、あらかじめお手持ちのスマホに「救急補助アプリ」を入れておくといざというときに役に立ちます。たとえば、「Coaido(コエイド)119」と「MySOS(※)」には周囲の人に向けてSOSを発信する機能があり、ケガなどで動けなくなったとき、近くにいる救助スキルを持った人にSOSを飛ばしてくれます。「Coaido119」の場合は119番にも発信してくれますから、必ずインストールしておきたいアプリです。
※:2024年8月末に救援依頼機能のサービス終了予定
Coaido119 ▶iOS
MySOS ▶iOS ▶Android
家族全員分の防災ベストを用意して命を守ろう!
防災リュックは比較的たくさんの防災グッズを入れることができますが、リュックを背負うと子どもや高齢者をおぶって避難することができず、重いので避難場所に走っていくのも大変です。その点、必要最低限のグッズを入れたベストなら、さっと着て家を飛び出すことが可能で、坂道をダッシュすることもできます。
国崎さんは、小さい子どもがいる方は子ども用のベスト、お年寄りがいる方はお年寄り用のベストも用意してみるのがおすすめだと言います。そうすれば、お互いが自分に必要なものを持って避難することができるので、結果的に自分と家族の命を守ることにつながります。
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この記事の内容は2024年3月14日時点での情報です。